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くら寿司が大幅減益。客離れからの復活に期待できる強みとは?

ビジネス

エンジニア採用に力を注いでいる

くら寿司

くら天然魚市場外観 photo by Akm 92 CC BY 4.0

 まず、くら寿司と同業他社の特許取得数を比較すると、下記のようになります(「特許情報プラットフォーム」での検索結果。1月12日時点)。

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くら寿司:83件
スシロー:11件
かっぱ寿司:2件
はま寿司:0件
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 くら寿司の特許取得数は圧倒的であると言えます。1997年に「レーン上の皿の滞留度を判定する」技術の特許を出願したことを皮切りに、2018年まで毎年何らかの特許を出願し、受理されているのです。なお、2018年に受理された最新の特許は「寿司ネタを皿に載せたまま、皿を汚さないようにレーンに流しながら自動で炙れる装置」でした。ここまで徹底した内容を見ると何かの執念も感じられますね……。

 なお、機械系のノウハウ・特許を重視する傾向は、エンジニア採用の動向にも表れています。

 たとえば、エンジニアに特化した求人・スカウトサイト「日経TECHキャリア」にあった機械系エンジニア募集では、440万~504万円の年俸提示がありますが、一方で、2013年に「エン転職」で出していたSE募集の年棒提示は、300万~400万円にとどまっています。時期が違うのであくまで参考情報ですが、100万円以上の年収の差が出ています。

 正社員の従業員全体の平均年収が450万円(平成30年10月期「有価証券報告書」より)であることから考えても、機械系エンジニアに対しては、くら寿司における平均以上の待遇を最初から約束していることになります。

魚の生産体制の強化・改善

 また、ベンダー選定にも機械系重視の傾向がうかがえます。くら寿司は2013年に三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社(以下MDIS)と組んで注文システムの刷新を行いました。MDISの「お客様事例」サイトによればこの時に必要だったと推察される要件は、

・くら寿司の皿ポケットのセンサーと連動させる
・くら寿司の新型レーンおよび調理機器と連動させる

 であったと考えられます。くら寿司は、とりわけ各工程の機械化・効率化が進んでいるため、既存の機械群との協働が正しくできる必要があるでしょう。

 そして、MDISは電機メーカーから派生しており、組み込み系の実績も持ちあわせたベンダーです。機械系を重視するくら寿司とは特に相性が良かったのではないかと考えられます。

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