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相鉄・JR直通線がついに開業。出発式に大勢の人が詰めかける

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 2019年11月30日、都市鉄道等利便増進法の適用第1号となる「相鉄・JR直通線」が開業した。

相鉄・JR直通線

夜明け前の海老名駅

 これにより相模鉄道(以下、相鉄)はJR東日本と相互直通運転をするカタチで、“「都心直通」という名の大願成就”を果たした。海老名駅で“相鉄の新しい夜明け”を見届けることにしよう。

相鉄の運賃表にJR東日本の運賃が表示せず

 早朝4時30分頃、冷え込みの厳しい海老名駅へ。相鉄本線、小田急電鉄小田原線、JR東日本相模線が集う駅で、舞台の相鉄駅舎は4時20分に出入口部分のみ開錠し、コンコースはシャッターが下りたまま。

 相鉄・JR直通線の開業を心待ちにしていたレールファンと思われる人が約30人、メディアも30~40人が駆けつけていた。

相鉄・JR直通線

相鉄の新しい運賃表

 メディアのみコンコースに入り、相鉄の運賃表を眺めると、JR東日本エリアの運賃が表示されていない。あとで相鉄広報にきいたところ、羽沢横浜国大を除き、券売機できっぷを購入した場合、JR東日本の下車駅で精算するという。交通系ICカードの場合、残高不足を除き精算やチャージをする必要もない。

 ただし、相鉄・JR直通線の列車に乗り、新宿で東武鉄道直通の特急に乗り換える場合、交通系ICカードが使えないので、車内もしくは下車駅で精算することになる。

 また、新規開業区間の相鉄新横浜線羽沢横浜国大―西谷間は、鉄道建設・運輸施設整備支援機構に施設使用料などを支払うため、30円の加算運賃が設定された(JR東日本は加算運賃の設定なし)。

 面白いのは、海老名―羽沢横浜国大・平沼橋・横浜間の運賃だ。きっぷは大人320円、小児160円の同額に対し、交通系ICカードの羽沢横浜国大へは大人313円、小児156円、平沼橋・横浜へは大人314円、小児157円と異なる。

 一方、JR東日本のいくつかの駅で運賃表を確認したところ、羽沢横浜国大前から先、相鉄エリアの運賃が表示されていない。もっとも、相互直通運転を行なう東京メトロ東西線、千代田線などの運賃が表示されていない駅が多いのだから、やむを得ない。

相鉄ホームの行先案内板で「新宿」が表示

相鉄・JR直通線

ついに“世紀の瞬間”が訪れる

 隣の小田急電鉄は、4時55分に各駅停車(新百合ヶ丘から急行)新宿行きが発車すると、海老名電車基地で電車が次々と動き出す。相鉄1番列車の急行横浜行きが5時05分に発車すると、ホームの行先案内板の3段目に「特急 新宿」が表示される。“世紀の瞬間”を目(ま)の当たりにした人々がホームや改札外のコンコースで撮りまくる。

 この光景を見ると、2004年1月30日、東京急行電鉄(現・東急電鉄)東横線渋谷駅で、多くの人々が行先案内板、電車の方向幕に表示される最後の「桜木町」を撮り納めしていたことを思い出す。横浜高速鉄道みなとみらい21線の開業による相互直通運転のため、東横線横浜―桜木町間が廃止されたのである。

 東横線渋谷駅も東京メトロ副都心線との相互直通運転に伴い、2013年3月16日より地下ホームの発着に変わった。跡地には高層ビルが2つも建ったほか、相鉄・JR直通線の列車が停車する埼京線と湘南新宿ラインのホームも近い将来移転される。

 そして、2019年11月30日より、渋谷に相鉄車両が停車し、“渋谷の新時代”に参入するカタチとなるだろう。

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