DeNAラミレス監督が取材で「同じ言葉」ばかり使う当然
レギュラーシーズンを2位で終え、初のクライマックスシリーズ(CS)開催権を掴み取った横浜DeNAベイスターズ。同球団が2位以上になるのは、セ・リーグ優勝を遂げた1998年(当時は横浜ベイスターズ)以来で、なんと21年ぶりのことである。
躍進するDeNAを牽引するのが、2016年に球団初の外国人監督として就任したアレックス・ラミレスだ(2019年に帰化し現在は日本国籍)。現役時代は打棒のほか、「アイーン」「ゲッツ」のパフォーマンスでも有名だった。
ラミレスは「ボキャ貧」なのか
思えば就任時には、多くのファンが「(前任の中畑清に続いて)また三枚目か」と、目立ちたがり屋の親会社を皮肉ったものである。ところがふたを開けてみれば、現役時代とはうってかわって、どこかの企業の重役のような落ち着いた佇まいを見せるラミレス。ときには奇策を用いてライバルを翻弄、DeNAを優勝争いの一角に押し上げた。
インタビューには英語で答えるラミレス監督だが、彼は「毎回同じ言葉を使う」ことで良く知られている。そこで今回は、特に頻繁に用いられるフレーズを「ラミレス慣用句」として以下に示したい。
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■ tough(タフな~)
「タフな試合」「タフな(相手)投手」など。「険しい」「厳しい」といった意味だが、多義語ということもあり「タフな~」と直訳される。対戦相手を称える意味合いで使われることが多い。
■ That happens.(そういうこともある)
記者から選手の失敗を尋ねられた際によく使われる。実際ラミレス監督が選手を公然と叱責することはほとんどなく、「失敗を受け入れる」というスタンスが見て取れる。
■ ~ did a tremendous job.(素晴らしい仕事をした)
逆にこちらは、選手を褒める際によく使う表現。好投した先発投手を指してこう言うことが多い。ただし、長いイニングを投げられる先発投手が少ないというチーム事情もあってか、5回で降板した場合でもこの言葉が充てられるなどハードルは低めだ。
■ Tomorrow is another day.(明日はまた別だ)
試合に敗れた日の監督インタビューでは必ずと言っていいほどよく聞く言い回しである。「明日は明日の風が吹く」という定訳もあるが、そんな人生訓を毎日聞かされていたらさすがにウザいため、最近は「明日は明日、ということで」などと簡潔に訳されるようになった。
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もっともラミレスも、これらの言葉だけでコメントを終わらせることはない。多くの場合、試合内容に具体的に踏み込んだうえでの使用である。「ラミレス慣用句」の多用は、不調の選手を必要以上に追い込まないために使われているものだと想定できる。
苦手の阪神先発メッセンジャーに対し、「彼のことを考えるとストレスになる」と本音を打ち明けることもあれば、テレビの取材に「今朝は夢に(捕手の)戸柱が出てきた」と、どうでもいいこぼれ話をすることも。別に悩むほどの「ボキャ貧」というわけでもなさそうだ。