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フジロック、客のマナー低下はなぜ起きた?フェス愛好家が語る

暮らし

課題が放置されかねない現実

――参加者側もある種の“当事者意識”を持たねばならないのかもしれませんね。広くフェスの情報を発信する立場としても、心がけていることはありますか?

津田:こういう問題というか課題に直面したときに、フェスが難しいのは、年単位の開催なのでそのときに何か起きても、次第にみんなが忘れていき、課題が放置されかねないところなんですよね。

 だからこそ、こういう場所でフェスのポジティブな側面とあわせて、こういうネガティブというか、今抱えている課題に関しても積極的に情報発信をしたり、いろんな人と議論していきたいと思っています。

――世界各国でフェスをみてきた津田さんですが、現地ではどのように巡っていますか?

津田:僕は会場へ着いたらアーティストを見るよりもまず、場内を一周してそのフェスの全体的な世界観を確かめますね。ステージごとの動線をチェックするのも大事で、あらかじめ調べていたステージごとの距離感が現場では異なる場合もあるので、頭の中で現実的なタイムテーブルを組むためにも必須だと思います。

主催者側の作り方をみるのも楽しい

津田昌太朗

「機械が作っているわけではないので、フェスにも人間の“味”が出る」と話す

――会場に必ず持ち込むものはありますか?

津田:野外なのでやはり、水分は欠かせませんね。あとジップロックを常に持ち込んでいるんですよ。野外の場合は突然の雨も考慮して財布やスマホが濡れないように使っています。

 あとは、海外のフェスだと日本のモノを持っていくのもおすすめです。現地にはないホッカイロや小さなカップラーメン、ウェットティッシュなどを持っておくと、ふとしたときにけっこう喜ばれますね。

――音楽を聴くことはもちろんですが、フェス自体でここを味わっておくべきというポイントはありますか?

津田:できれば、なるべく早く会場入りして、全体がどう作られているかを楽しんでほしい。朝から夜にかけて行われるフェスの主催者側は、太陽はどこから沈むのか、ステージごとにどこで休憩してもらうかなど、会場全体を緻密に計算して作っているんですよ。

 タイムテーブル一つとっても、例えば、「メインステージに立ったアーティストが好きな人が使う動線には、似たジャンルのこのアーティストを置いてみよう」とか、かなり工夫して作られているので、フェスごとににじみ出る主催者側の“色”を感じ取りながら歩いてみるのもいいかもしれませんね。

■ ■ ■ ■ ■

 各地で開催されているフェスは「いろいろなところに連れて行ってくれる存在」と語っていた津田さん。どの現場にも共通する“音楽”はもちろん、現地でしか味わえない人や食べ物との出会いに思いを巡らせてみるのもまた、楽しみといえるかもしれません。

<取材・文・撮影/カネコシュウヘイ>

【津田昌太朗】
日本最大級の音楽フェス情報サイト「Festival Life」主宰。2019年4月に世界中の音楽フェスをまとめた『THE WORLD FESTIVAL GUIDE』を出版。ワタナベエンターテインメント所属。instagram:@festival__junkie

フリーの取材記者。編集者、デザイナー。アイドルやエンタメ、サブカルが得意分野。現場主義。私立恵比寿中学、BABYMETAL、さくら学院、ハロプロ(アンジュルム、Juice=Juice、カンガル)が核。拙著『BABYMETAL追っかけ日記』(鉄人社)。Twitterは@sorao17

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