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フジロック、客のマナー低下はなぜ起きた?フェス愛好家が語る

 多くのアーティストたちが一堂に会する音楽フェスは、今や、日本のエンターテインメント産業を支える大きな柱となっています。

 しかし一方で、動員数の上昇などに伴って今年7月に開催された「フジロックフェスティバル」(以下、フジロック)では、参加者のマナーの悪化が一部から指摘されるなど、定着したがゆえに新たな課題もみえています。

津田昌太朗

書籍『THE WORLD FESTIVAL GUIDE』の著者・津田昌太朗さん

 では、音楽フェスの現状はどうなっているのか。国内外のあらゆるフェスを渡り歩いて上梓したフェスガイドブック『THE WORLD FESTIVAL GUIDE』の著者・津田昌太朗さんに話を聞きました。

意外とフェスの開催が多い5月と9月

――日本最大のフェス情報サイト「Festival Life」の運営も手がけている津田さんですが、年間どれほど参加されているのでしょうか?

津田昌太朗(以下、津田):年間52週あるうちのほぼ毎週末、どこかしらのフェスに参加しています。国内外含めて30~40公演ほど。例えば今週は兵庫県のフェスでトークセッションに参加して、翌週には横浜のフェスで写真展示で出展、その次の週はヨーロッパのアートフェスに視察に行ったりというふうに、夏は常に動き回っています。

――国内でフェスといえば夏の“4大ロックフェス”(フジロックフェスティバル、サマーソニック、ロック・イン・ジャパン・フェスティバル、ライジングサンロックフェスティバル)がとりわけ注目されますが、実際は年間を通して大小含めてかなりの数が開催されていますよね。

津田:そうですね。7~8月にかけての“4大ロックフェス”はもちろんですが、意外と多いのが5月と9月なんです。ゴールデンウィークを境にして5月には「ビバラロック」や「グリーンルームフェスティバル」などがあり、9月には「ウルトラジャパン」や「氣志團万博」といった大型フェスもあります。6月は梅雨の時期なので少し開催数が少なくなります。

――日本でも定着してきたフェスですが、それ自体の魅力をどのようにお考えですか?

津田:もちろん最先端の音楽文化に触れられるということが大前提としてありつつ、言葉では表しきれないんですけど、広い会場を歩いたり、わざわざ遠い場所に出かけて音楽を聴くというある意味、“ムダ”とも思えるような経験が醍醐味だと思っています。

 音楽的な部分でも最近ではストリーミングサービスに提案された“おすすめ曲”でお気に入りの曲を見つける文化も定着しつつありますが、アナログにステージを行き来する中でふと「このアーティストいいかも」と自分の好みではないけれど、何か気になる偶然の産物に出会う瞬間があったりもするんです。

 また新たな文化に出会うことも多くあって。実際の自分のまわりでも洋楽好きな人がふとアイドルにハマったり、音楽とは関係ない場面でも、フェスついでに寄っていた温泉が趣味になったりみたいな。音楽はもちろん、それ以外の予期せぬ出会いを体感できる場所というのがフェスならではの魅力だと思います。

マナー問題は黎明期から叫ばれていた

津田昌太朗

「2000年代半ば頃からを知る僕らは“フェス第2世代”」だと津田さんは語る

――フェスならではの魅力がある一方で、昨今はフジロックのマナー問題も一部からは指摘されていましたが、精通する一人としてどうみていますか?

津田:「世界一クリーンなフェス」と呼ばれていたのに、最近は会場ではゴミが散乱しているという、とある記事が以前バズったことがありました。実際、僕も現場では目にしましたが、ただそれは今に始まったことではなく、黎明期からフェスが戦い続けている課題でもあるんですよ。

 僕が初めてフジロックへ参加した2000年代中盤にも、黎明期を知っている参加者からは「ゴミが増えた」とか「街中の格好で来るようになった」という声をよく聞きましたね。でも、肌感覚ですが当時は「こうしたほうがいいよ」と現場できちんと教えてくれる人たちがいたんです。