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ディズニー映画では「子供はトイレに立ってしまう」アニメ映画の巨匠が指摘

『キリクと魔女』『夜のとばりの物語』などで知られるアニメ映画の巨匠ミッシェル・オスロ監督(75)の新作『ディリリとパリの時間旅行』が公開中です。

オスロ

ミッシェル・オスロ監督

 ベル・エポックのパリを舞台に、ニューカレドニアからやってきた少女ディリリと、配達人のオレルが、パブロ・ピカソら有名人と会いながら、発生中の少女誘拐事件の謎を追っていきます。

 来日した監督に、これまでの作品とは違い、背景に写真素材を取り入れた理由や、下積み時代について直撃。独自の世界観を持つ監督からは、「ディズニー映画だと子供たちはトイレに立ってしまう」といったコメントも飛び出しました。

文明こそが、差別に対抗する手段

――そもそもベル・エポックのパリを描こうと思われたのはなぜですか?

ミッシェル・オスロ監督(以下、オスロ):私が最初にこの映画のテーマとして描きたいと思ったのは、女性や少女たちが、男性たちからの差別によって虐げられて不当な扱いを受けていたということです。それを美しいパリの風景、女性たちがキレイな衣装を着ていたベル・エポックの時代のなかで描こうと思いました。

 だから当初はベル・エポックの時代については深く知らなかったんです。調べていくうちに、この時代は素晴らしい才能を持った人たちが集結していて、人類にとって役に立つものをたくさん発明していることに気が付きました。そしてそうした文明こそが、女性や少女たちを虐げる男たちに対抗する手段じゃないかと思ったんです。

――女性にとっても重要な時代だったのでしょうか。

オスロ:そうです。女性がようやく社会進出し始めた時代にあたります。とはいえ、法律が促進したわけではありません。当時の法律は全然女性を優遇していなかった。それにも関わらず、女性たちは自分たちの力で戦って、多くのことを勝ち得ていったのです。パイオニア的な女性がいろんな分野で生まれていきました。20世紀の女性進出の扉を開いたのが、ベル・エポックの時代。でも、21世紀は、世界の各地で原理主義が生まれはじめ、そうした流れが停滞するというか、後退している気がします。

3DやCG処理によるリアリズムには興味がない

オスロ

『ディリリとパリの時間旅行』

――オスロ監督というと影絵のようなタッチが有名ですが、その実、作品ごとにかなり変化があって、毎回新しい技術を取り入れています。今回は、パリの背景に監督自身が撮った写真を取り入れています。以前、「アニメーションのリアリズムには興味がない」とおっしゃっていましたが、今回写真を使った手法を取り入れたのはなぜですか?

オスロ:まず、人物としては全くリアリズムを取り入れていません。そして私があまり好きではないとお答えしたのは、3DやCG処理によるリアリズムに関してです。それには興味がないし、退屈だと感じています。やはりアニメが持っている軽やかさや、フィクションだからこそ作れる素晴らしさを出すほうが美しいと思う。

 そうした考えの上で今回、背景や建物に関して写真を使ったのは、当時から今へとそのまま現存しているパリの姿を提示したかったからです。人間の想像力や技巧が作り上げた、現実にある素晴らしい芸術を、そのままに見せようと思ったのです。

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