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伊藤忠を辞めフリーター生活を経た哲学者が見つけた“働く目的”

学び

自分の人生を“自分の意志”で選ぶには?

――自分の人生を自分の意志で選ぶためには何が必要ですか?

小川:人生の方針を「やりたいことを優先する」と転換すればいいのです。ただ、一度そう決心してもなかなか実践できるものではありません。なかなか転換できないときは、スローガンのように部屋に貼って、毎日見る、そして自分に毎日言い聞かせることです。私もそうしています。工場や工事現場で毎日「安全第一」と確認しているのと同じで、意外と効果があります。

――努力の仕方がわからなくて空回りしてしまわないですか?

小川:誰か信頼できるメンターを見つけることでしょう。近くの先輩でも、社外の人でも、誰でもいいと思います。いなければ、本でもいいと思います。7月に上梓した『5辛大盛がさえないボクに教えてくれた幸せな生き方』も、そのひとつになることを目指しています。

――でも、なかなか簡単には見つからないですよね?

小川:10個やればひとつくらいは当たるはずです。数多く打って当てるしかないと思います。たとえば私も何か採用してもらおうと思うときには、できる限りたくさんのアプローチをするようにしています。人生はお見合いです。とにかくたくさんの人と出会い、話すこと。親友だってその中から見つかるものでしょうし。恋人や師匠も同じです。

“自分なりの幸せ”を見つけるには?

幸せ

※画像はイメージです

――どうやって自分なりの幸せ、成功を見つけたらよいのですか?

小川:常に、自分が進んでいる道を問い直すことが必要なのだと思います。客観的に自分の状態を記述し、それでいいのかどうか吟味する。そうすれば常に自分が求める正しい道を歩んでいけるはずです。ふと気づけばぜんぜん望まない方向に来てしまっていたということのないように常に問い続けることです。

――最後にbizSPA!フレッシュ読者に向けてアドバイスをお願いします。

小川:狭い意味での仕事にこだわることなく、やりたいことをやりたいようにやる。人生100年時代は今日を楽しみながら生きるという意味で、享楽的ならぬ「今日楽」的で行きましょう!

<取材・文/小林たかし>

小川仁志
哲学者・山口大学国際総合科学部教授。京都府生まれ。博士(人間文化)。商社マン、ひきこもり、フリーター、公務員を経た異色の経歴。「哲学カフェ」主宰。NHK「世界の哲学者に人生相談」指南役。著書多数。

フリーランスのライター、主にweb媒体を中心に様々な分野で執筆を手掛ける。守備範囲は広いがとりわけ、変なもの、ことに関する興味が強い。最近の目標はヘビトンボを食べてみること。

5辛大盛がさえないボクに教えてくれた幸せな生き方

5辛大盛がさえないボクに教えてくれた幸せな生き方

ある日いきなり、ボクの人生に金髪のビジネスコンサル(5辛)とヒゲの哲学者(大盛)が現れた。なぜ、このおやじたちはボクに構うのか。そして、ボクの人生はいったいどうなってしまうのか―。働く人が今を生き抜くためのビジネス哲学。

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