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オリンピック輸送を2度も行った「日比谷線第1世代」の意外な今

コラム

夏・冬季五輪で「鉄道アクセス輸送」を担う事業者

 夏・冬季のオリンピックで鉄道アクセス輸送を担った車両は、先述の通り。鉄道事業者に関しては、2020年の東京オリンピックを含め4つある。

○国鉄(JRグループの前身)

日比谷線

東海道新幹線開業時の0系(さいたま市の鉄道博物館にて)

 1964年の東京オリンピック開催が決まると、国鉄は東海道新幹線の建設を急ぎ、開会式9日前の10月1日に開業した。その後、日本は高度経済成長期に入る。

日比谷線

“北海道の玄関口”として、不動の地位を築いた新千歳空港

 1972年の札幌オリンピックは、上野―札幌間に臨時特急〈オリンピア〉が設定され、電車特急―青函連絡船―気動車特急の乗り継ぎで“1つの列車”とした。その後、国鉄の相次ぐ運賃値上げなどが影響し、東京―札幌間は航空機に移行されてしまう展開となった。

○JR東日本

日比谷線

北陸新幹線〈あさま〉初代車両のE2系

 1998年の長野オリンピック開催に先立ち、JR東日本は北陸新幹線高崎―長野間が1997年10月1日開業。オリンピック期間中は〈あさま〉の臨時列車を多数設定した。

 2020年の東京オリンピックでは「東京2020オフィシャル旅客鉄道輸送サービスパートナー」としての重責を担う。

○JR東海

日比谷線

特急〈(ワイドビュー)しなの〉

 1998年の長野オリンピックでは、JR東日本に直通するエル特急(現・特急)〈(ワイドビュー)しなの〉、急行〈ちくま〉がアクセス輸送に活躍。2020年の東京オリンピックでは、JR東海のドル箱路線、東海道新幹線が再びアクセス輸送を担う。

○札幌市交通局

日比谷線

地下鉄東豊線

 1972年の札幌オリンピックでは、地下鉄南北線が1971年12月16日に開業し、アクセス輸送を担う。

 そして、2020年の東京オリンピックでは、札幌ドームでサッカーが開催されるため、48年ぶりにアクセス輸送を担うことになった。最寄り駅は東豊線(とうほうせん)の福住。

 東京オリンピックを起爆剤に、北海道経済の活性化、観光客の増加にも期待したい。

<取材・文/岸田法眼>

レイルウェイ・ライター。「Yahoo! セカンドライフ」の選抜サポーターに抜擢され、2007年にライターデビュー。以降、ムック『鉄道のテクノロジー』(三栄書房)『鉄道ファン』(交友社)や、ウェブサイト「WEBRONZA」(朝日新聞社)などに執筆。また、好角家の側面を持つ。著書に『波瀾万丈の車両』『東武鉄道大追跡』(アルファベータブックス刊)がある

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