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ジャニー喜多川の家族葬、小林麻央の在宅死…「自分らしい最期」の迎え方

暮らし

葬儀社のプラン通りだとお葬式は高額

安井

「やまと診療所」院長、安井佑

 まず「家で亡くなると警察が介入するのではないか?」と質問されることがあります。在宅医療が定期的に介入している限り、警察が介入することはありません。医師が訪問して「病死」であると診断できれば、その場で「死亡診断書」を書きます。警察が介入するのは「事故死」や「事件」の可能性が否定できない場合です。

 お葬式についても書きます。我々が自宅で見送らせていただいた方の半数以上は、亡くなった時点では葬式について何も決められていません。家族としても介護で精一杯のためお葬式にまで考えが及ばなかったり、そもそも縁起でもないと避けてしまっていたりします。

 亡くなったその日のうちに葬儀社がやってきますので、提示されたプラン通りの式を行うことがほとんどです。会場などの「儀式代」と飲食などの「おもてなし費用」、お坊さんへのお礼など「宗教費用」を合わせて全国平均195.7万円とされています。高額で形式通りの式を選択するしかない状況にならないために、事前に他の選択肢を知り備えておくことが重要です。

 儀式(平均121万円)は、家族・親族のみの「家族葬」や、関係者を呼ぶ「一般葬」、通夜を行わない「一日葬」など、様々なパターンがあります。例えば「イオンのお葬式」だと、家族葬は46万、一日葬なら32.5万、一般葬で65.5万円ほどで実現可能です。

 おもてなし(平均31万円)も、親族だけであれば決められたパッケージの料理ではなく、故人が好きだった寿司やうな重などを自分たちで買ってきてもいいのです。

 事前に選択肢を知っておけば、費用を抑えられたり、相場くらいかかったとしても故人らしさが反映された式を実現したりすることが可能です。

「縁起でもない」ではなく、向き合うことが大事

老人

 高齢化、超高齢化と悪者のように言われることもありますが、今最期を迎えようとしている80~90代の方々は戦後の日本を作ってこられた方々です。介護を担う50~60代の子供たち、それを支える20~30代の孫たち。全員が当事者としてこの方々の見送り方について考えることが必要になってきています。

「自分らしい最期」は、決して華美なものでも贅沢なものでもありません。若い世代も「今こんなサービスもあるらしいよ」と選択肢を提案して、積極的に家族とコミュニケーションを取ってみてください。

<TEXT/安井佑>

【安井佑】
東京都板橋区の「やまと診療所」の院長。開業6年にして全国トップ5の自宅看取り実績を持つ。元エンジニアや事務員、不動産営業などの無資格・未経験の若手を「在宅医療PA」という、患者家族とのコミュニケーションのプロとして育成している

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