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ジャニー喜多川の家族葬、小林麻央の在宅死…「自分らしい最期」の迎え方

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 東京都板橋区の「やまと診療所」の院長の安井佑です。7月9日にジャニー喜多川さんが亡くなり、その家族葬が12日に都内(葬儀場ではなく、関連会社「ジャニーズアイランド」の稽古場)で実施されました。9月には関係者を招いた「お別れ会」が東京ドームで開催されるようです。

 テレビなどの報道によれば、ジャニーさんは病室でさまざまな楽曲を流しながら所属タレントたちと好物を食べたり、思い出を語り合ったりしながら最期の日々を過ごされたようです。

葬式

※画像はイメージです(以下同じ)

 また一方で、2017年に亡くなった小林麻央さんは家族がいる我が家を最期の場所に選び、子どもたちとの愛おしい日々をブログに綴られていました。

 ジャニーさんや麻央さんのような「自分らしい最期」は、芸能人ではなくても実現できます。そのためには事前にしっかり備えておくことが必要です。「自宅で自分らしく死ねる。そういう世の中をつくる。」という理念を掲げ、多死社会に向けて在宅での看取りの体制構築を進めるやまと診療所の院長安井が、自分らしい最期を実現するためのポイントを分析します。

病院ではなく自宅でできる「最期の過ごし方」

 やまと診療所は「在宅医療」を提供しています。在宅医療とは麻央さんのように残された時間を自宅で家族と過ごしたいという方々を支えるための医療です。

 脳腫瘍と言われた40代の女性Aさんの話です。彼女には3歳と6歳になる息子と娘がいました。彼女にとって一番大切だったのは、この子供たちと一緒にいることでした。しかし、入院中は会える時間も限られているうえ、病室で静かに過ごすこともできません。残された時間は家で過ごしたいと、在宅医療に切り替えました。

 リビングのベッドの横で元気に走り回る様子を見たり、一緒に宿題をしたりすることが何よりも幸せそうでした。当初は退院を心配していたご主人も「ただ病院のベッドで寝ているだけより、賑やかな環境で楽しく過ごさせてあげられてよかった」と言います。

 他にも「長年連れ添った愛犬がいるから帰りたい」「一人暮らしで家族はいないけど好きに起きて好きにテレビを見たい」「とにかくご主人の側にいたい」「部屋から見える季節の景色を見たい」など、自宅への思いは100人いれば100通りあります。

自宅での最期は特別なことではない

樹木希林

『一切なりゆき 樹木希林のことば』 (文春新書)

 小林麻央さんや、昨年亡くなった樹木希林さんは最期を自宅で過ごされましたが、在宅医療は何も芸能人だから実現できる高額な医療というわけではありません。

 在宅医療にかかる費用は、入院や通院とくらべても特別高くはないのです。医療保険や介護保険、払い戻し制度(高額療養費制度)などを使うことで、月額約3万円(※1)ほどで自宅でも医療を受けながら生活ができます。

 厚労省が行った「平成29年度人生の最終段階における医療に関する意識調査報告書」によれば、「住み慣れた場所で好きに過ごしたい」「家族などとの時間を多くしたい」などの理由から、自宅で最期を迎えたいと思っている人は7割もいます。

 しかし、実際8割は病院で亡くなり、家で最期を迎える方は1割もいません。これから日本が多死社会を迎えるにあたり、自分の人生の終いかたをどのように選択するか、が大きな課題になっています。

※1)訪問診療:週1回、急変時の往診:月2回、深夜往診:月2回、訪問看護:毎日、自己負担1割の場合

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