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女子大生が就活をせずに「30万円の一戸建て」を購入した理由

ビジネス

当初の計画が頓挫して「クラファン」に

たむろ荘

改修工事は知人などの手を借りて行った(提供/本田美咲)

――クラウドファウンディングも行ったそうですが、資金は集まりましたか?

本田:当初は、特定の人から改修の資金を借りるつもりだったんです。ただ、それが頓挫してしまって、ネットで募ることに。クラウドファンディングは有名な大手のサイトもありますが、そこだと他にも案件があるから埋もれてしまう。それならと、私たちは地元密着型の「FAAVO群馬」というサイトで募集しました。

 最終的に集まった金額は48万円。“群馬愛”がある人や、地域創生に興味ある人たちに支援してもらえたのが、良い結果につながったと思います。

――クラウドファンディングで集めた48万円はどうしました?

本田:手数料を引くと手元に残ったのは38万4000円。それに自分たちの貯金をそれぞれ10万円ずつ出した60万円弱が初期費用でした。ただ水道管と雨漏りの修理費でほぼ底をつきたので、あとは秋山と2人で、巫女や学習塾、飲食店でのアルバイトをして修理・材料費を稼ぎました。

――トータルで何円くらいでしたか?

本田:2人で月2万円ずつ出しあって2年間で100万円ちょいかかりました。完成してすぐ大学も卒業したので、就職活動はまったくせずバイトだけしてました。家があるし、あとは食べるものと着るものがあれば「ほぼ死なないし何とかなるだろう」と思えたのは大きかったですね。

いろんな人が地域活性化に携わっていい

たむろ荘

「就活やたむろ荘について、親からは何も言われていない。相談するようにはしている」(本田)

――群馬県とのつながり、思い入れはありましたか?

本田:群馬県には大学進学を機にやってきたんです。玉村町は、面白いところがあって好きな場所。こうやって地方にシェアハウスを建てる活動って、もっといろんな人が携わってもいいと思うんです。それこそ自分の地元に、複雑な事情があって思い入れを持てない人も、自分と関係ない土地で地域活性化に取り組めたら良いですよね。地元だとどうしても「○○さん家の~」って、その人の家族ありきの目で見られちゃうけど、違う土地なら自分の実力をフラットに評価してもらえる。そんな経験、貴重ですよね。

――確かに、自分ごととして見てもらえそうですよね。

本田:あと、こういう活動って東京だと、割とすぐ人も集まるし、簡単にできると思うんですよね。私自身、何もないような辺境で、何かやっている人にシンパシーを覚えるというか。東京を否定しているわけでは決してないのですが、地方で試したいという気持ちがあったんだと思います。

――女性だけのシェアハウスは珍しいですが、大変な思いはなかったのですか?

本田:ゲストハウス時代は、たまに変わったお客さんがやってきましたが、そこまで大変な思いはしていないですね。いまはイベントスペースとして、落語会を開いて地元出身の落語家さんに来てもらったり、地元の行政の会合するスペースにも使ってもらったりしています。これからも女性に限らず、ラフに使ってもらいたいですね。

たむろ荘

日中はカフェ営業も。「お客さんは基本、地元の人が多い」(本田) ※メニューは取材当時

<取材・文・撮影/シルバー井荻>

【本田美咲】
長野県出身。群馬県立女子大学の4年生のとき、友人の秋山恵璃さんとシェアハウス兼オープンスペースの「たむろ荘」を設立。代表に就任。公式サイト「たむろ荘」も更新中。Twitter(@blue05410n

平成生まれの編集者・ライターです。赤羽と阿佐ヶ谷に出没します。ビジネスサイトの編集長もやってました。

■たむろ荘 〒370-1132 群馬県佐波郡玉村町大字下新田4902(JR新町駅から車で約20分)

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