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日本と海外の映画業界の”ざんねんな違い”。鬼才監督が語る

「日本でもっとも革新的な映画監督のひとり」と海外で称される深田晃司監督

 カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で審査員賞に輝いた『淵に立つ』、インドネシアの人々と在住日本人たちの絆をとおして、人間性の光と闇や人生の不条理を冷静に、かつ切実に映し出した『海を駆ける』など話題作を続々と発表している。

深田晃司監督

深田晃司監督

 そのかたわら、日本の映画界が抱える課題を発信し続けているが、今回、脚本と監督を手がけた衝撃作『よこがお』が公開中だ。そんな深田監督に映画制作や日本映画界の未来について話を聞いた。

キャストはオーディションで決定

――本作でも監督は実力派俳優でキャストを固めましたが、監督はオーディションによるキャスティングにもこだわりがあると聞きました。

深田晃司(以下、深田):私の場合、私が出演を指名してお願いするキャスティングとオーディションで決めるキャスティングの2通りがあります。今回は筒井(真理子)さんに主演してもらいたかったので、脚本を書く前からまず筒井さんに出演をお願いしていました。

 市川(実日子)さんと池松(壮亮)さん、大方斐紗子さんと吹越満さんらいつかご一緒したかった俳優さんたちにも出演をお願いしましたが、後はほぼすべてオーディションでキャスティングをしました。

 私自身の割合としてはオーディションでキャスティングをするほうですが、オーディション文化が日本でもっと普及すればよいのにと思っています。

――オーディション文化は日本の映画界に根付いていないのですか?

深田:欧米に比べるとオーディションは日本ではまだまだ少ないですね。日本では、“有名な俳優さんに声をかける=役のオファーである”というのが一般的ですが、いろんな意味でもったいないと思っています。

人気のある俳優が仕事を選びにくくなる

深田晃司監督

映画業界の問題というよりは、俳優さんが主体的にやりたい仕事ができなくなることが問題

――もったいないとは?

深田:まだ無名の俳優さんにとっては出演の機会が限定されてしまいますし、逆に人気のある俳優さんにとっては自分で仕事を選びづらく、オーディションを通してチャレンジしたり、自分の出たい映画に出たりなどができないので、基本的に待つことしかできなくなってしまう。

――欧米でも指名によるキャスティングはあると思いますが、オーディションによるキャスティングがもっと多くの人に開かれているということですか?

深田:『アベンジャーズ』のアイアンマンでさえ、オーディションによって俳優が選ばれています。あれだけ大規模な予算のスーパーヒーロー役がオーディションの演技で決められるなんて、日本ではありえないですよね……。

 もちろん、日本でも監督と俳優の個人的な話のなかに「出演してほしい」とか「出演したい」とかいう話は出ますが、大御所になればなるほど、俳優が自分では決められない感じなので、そこが非常に残念ですね。