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おぎやはぎが語る、NHK「オンエアバトル」に救われた過去

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なぜ人力舎芸人にスポットが当たったのか?

 そのなかでも人力舎所属の芸人にスポットが当たったのはなぜでしょうか? お笑いの世界に詳しいある芸能ライターはこう語ります。

「当時はダウンタウンやナインティナインの勢いに乗って、吉本興業所属の芸人がテレビ番組を席巻。とくに関東は漫才よりコントを披露する芸人が多いこともあり、テレビ向きではないと判断されていました。そんな状況のなか、とくに人力舎は先輩後輩の垣根を超えてネタを磨き、ライブシーンを盛り上げていたんです。

 先月放送のオンエアバトルにメインで出演した5組以外にも、アンタッチャブル、ゆってぃ(後継番組『オンバト+』など)、田上よしえ、ラバーガールなど同番組で活躍した人力舎メンバーはたくさんいる。このことが、当時一番層の厚い事務所だったことを証明しています」

『オンバト』は芸人とテレビマンの結晶

テレビ

※画像はイメージです

 オーディションではなく、ディレクターのオファーで出場できる『爆笑オンエアバトル』。にもかかわらず、「史上もっともシビアなお笑い番組」と呼ばれているのはなぜでしょうか?

「たとえ岡澤さんからオファーを受けたとしても、当日の会場で笑いをとらなければ番組で放送されません。知名度があっても面白くなければ容赦なく落とされるんです。ただ、だからこそ芸人冥利に尽きる番組だったのではないでしょうか」(同前)

 おぎやはぎの2人が、テレビで初めて漫才を披露したのは意外にも『オンエアバトル』。前述のラジオのなかで矢作さんは「オンエアバトルは漫才のほうが通りやすい」と、番組のオンエアーを勝ち取るために漫才をはじめたことを明かしています。その後、おぎやはぎは漫才を武器にしてM-1グランプリの決勝に2度出演。一気に知名度を上昇させ、今ではテレビやラジオに引っ張りだこの売れっ子芸人となりました。

 テレビに出演するチャンスがなく、日の目を見なかった芸人たち。そして、番組を盛り上げたい一心でライブ会場を駆けずり回り、知る由もない明日のスターを掘り起こしていったディレクターの岡澤さん。『爆笑オンエアバトル』は、若手芸人と熱いテレビマンが生んだ結晶ともいえる番組だったのです。

<TEXT/鈴木旭>

フリーランスの編集/ライター。元バンドマン、放送作家くずれ。エンタメ全般が好き。特にお笑い芸人をリスペクトしている。個人サイト「不滅のライティング・ブルース」更新中

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