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埼京線が遅延する日数・長さに驚き。遅れる原因は?

暮らし

湘南新宿ラインの遅延が波及

台風の影響による電車遅延

 こうした声からも想像できるように、長時間遅延の大きな原因は“他路線の遅延の影響”であろう。

 埼京線が直通運転を行っている他路線は、JR川越線と東京臨海高速鉄道りんかい線。ただ、後者はお台場方面に走る大半が地下の路線だし、川越線は比較的利用者数の少ない郊外路線。

 ならばなぜ? という気もしてくるが、埼京線は池袋~大崎間で湘南新宿ラインと同じ線路(山手貨物線)を共有している。

 湘南新宿ラインは高崎線・宇都宮線・東海道線・横須賀線とも直通する長大な路線の一部であり、これらの路線の遅延が“同じ線路”を利用する池袋~大崎間を通じて埼京線にも波及してしまう、ということだろう。

 実際、宇都宮線・高崎線は30分超の遅延が2.7日におよぶ。この影響を埼京線に及ばないように留めるのは至難の業。結果、30分超の遅延が2.6日という有様になってしまったのである(ちなみに、10分超~30分以下の遅延も8.6日と多く、これも他路線からの影響があると思われる)。

首都圏特有「相互直通運転」の問題点

 こうした“他路線の遅延の影響の波及”は、相互直通運転が盛んに行われている首都圏では大きな問題のひとつだ。

 前述の湘南新宿ラインでも、その遅延は埼京線どころか上野東京ラインや常磐線にまで波及する。事故が京浜東北線や山手線と並行している場所で起きたならば、そちらにも当然影響するだろう。

 また、地下鉄を間に挟んで多くの路線が相互直通運転をしているから、私鉄でも同様の問題が起こる。東武東上線の川越あたりで事故が起きれば、直通先の地下鉄副都心線を通じて東急東横線、西武池袋線などにも影響が及ぶのだ。

 相互直通運転は、何もなければその利便性の高さは言うまでもない。郊外から都心まで乗り換えなしで行くことができるのだから、これまで相互直通運転を充実させてきたことは大きなプラス。

 とはいえ、同時に起こりうるのがこうした“遅延の波及”なのである。むろん、「だから相互直通運転はよくない」などと言うつもりはないが、特に埼京線に限って言うならば、直通というよりは線路共有によって起きる遅延の波及。いくらかかわいそうな気もするが、果たして解決方法はあるのだろうか。

<取材・文/鼠入昌史>

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