住みたい街ランキング上位に「港区・世田谷区」の駅名がない理由
「横浜」が1位になる隠れた理由とは?
また、住みたい街ランキングは広い領域を意味する駅名が有利で、狭い領域しかカバーしない駅名が不利になるという傾向があります。
例えば、住みたい街ランキング1位の横浜駅。横浜のイメージは幅広く、「横浜に住みたい」といっても、人によってイメージする場所はさまざまです。みなとみらいなのか、山手なのか、元町なのか、本牧なのか……駅本来というよりも「ざっくり横浜に住みたい!」という希望を取り込んだかたちでしょう。
横浜駅西口側をしばらく歩いたところに低層住宅街もありますが、このアンケート回答者の念頭に含まれているとは思えません。
同じようなことは、新宿駅(5位)にも言えそうな気がします。逆に品川駅(6位)エリアはタワーマンションがたくさんあり、意外と駅から徒歩圏内の住まいの選択肢は数多くあります。
住みたい街“実質”1位の恵比寿。その魅力とは?
ということで、横浜を除けば実質的な1位は恵比寿駅。これは納得の結果です。駅前には活気のある商店街があり、居並ぶ商店や外食だけでなく、街を歩く人や散歩する犬までオシャレ。
1994年に渋谷区と目黒区にまたがるランドマーク「恵比寿ガーデンプレイス」が開業する前は目立たなかった場所だけに、駅前には古くからやっている風情ある商店なども残っていますし、渋谷・代官山・広尾といったエリアにも歩いていけます。
恵比寿駅の魅力は街の新旧のバランスが取れている上に、すぐ近くに東京を代表するブランドエリアが重なるように存在しているからでしょう。
しかし、住む場所となると、かなり値段が張ります。オートロック付きのワンルームを探そうと思ったら家賃12万~14万円は覚悟しないといけない場所です。
近郊エリアの復権のカギに「治安の良化」
恵比寿以外のランキング上位を見直すと、近郊エリアの復権が目立ちます。ずっと大人気の吉祥寺はともかく、「大宮」「浦和」「武蔵小杉」「鎌倉」がベスト10に入ってくるようになったのはここ最近の傾向です(千葉県は舞浜の22位を筆頭に、船橋・柏・千葉が同列でほぼ並んでいます)。
東京23区の駅で百貨店から映画館、居酒屋やスーパー、そして市役所やホールまで揃う場所は、ほとんどありません。ですが、これらの東京からちょっと離れた近郊・郊外の中核都市駅なら、駅前ですべてが揃い、急行や快速列車に乗れば都心まで30分くらいで付ける利便性も兼ね備えています。
通勤ラッシュの満員電車に耐えることができるなら、かなり住むのに魅力的な場所であることは間違いありません。以前でしたら、こうした中核都市の駅前は、中高生ヤンキーがたむろし、ひったくりや恐喝が多いなど治安の悪いイメージもあったのですが……治安の良化でそういった心配もなくなりつつあります。
近年、人気が高まっているといわれる、北千住や赤羽も治安の良化と利便性の追求トレンドに乗ったものと思われます。