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住みたい街ランキング上位に「港区・世田谷区」の駅名がない理由

暮らし

異例のベスト10入り「鎌倉」

 ランキングで一番異例なのは、10位の「鎌倉」です。都心への通勤には遠く、道が狭いせいで市内の渋滞は日常茶飯事と、お世辞にも便利とはいえない場所です。

 投票した方の属性を詳しく見ると、独身やDINKS世帯(共働きで子供を意識的に作らない、または持たない夫婦)ではなく、「夫婦+子育て」世帯からの熱い支持がありました。

「子育てするなら環境が良く、都心からちょっと離れた場所で」。そういったニーズが鎌倉のランキング入りに貢献したのでしょう。

 ちなみに鎌倉駅から、横須賀線や湘南新宿ライン経由で東京・渋谷・新宿へのダイレクトアクセスは可能です。グリーン車通勤さえできれば、毎日座っていくこともできます。

かつての自由が丘の勢いはどこへ……

 最後に、元・自由が丘住民の筆者として、ひとつ言わせてください。

 目黒区の自由が丘駅は、2000年代において吉祥寺・代官山・中目黒と住みたい街ランキング1位を争うほどの超人気エリアでした。しかし、2010年代に入り人気を徐々に落とし、今年のランキングは19位と一時の勢いは見る影もなくなっています。

 自由が丘は街全体がどことなく洋風を気取って、3軒に1軒は美容室。休日に道を歩く8割は若い女性という圧倒的オシャレ感があったのですが、完成された街なゆえに、更新が少なく微妙に他の街から行きにくい場所です。

 東京都内の大規模再開発がどんどん行われるなかで、ここ20年間、安定した魅力を提供しつづけてきた自由が丘の人気が低迷してしまったのは寂しいところです。

 住んでみるととてもいい場所なのですが、なにぶんもう完成されてしまった街なので、これからまたランキング上位に食い込むほどの伸びしろはさほどなさそうな気がします。

「住みたい街ランキング」より考慮すべきは

スマートフォンを見る男性

 さて、住みたい街ランキングをチェックしてきましたが、冒頭で述べたようにアンケートの取り方自体がさほど公平ではない気がします。

 住みたい街ランキングというよりも、憧れのエリアランキング程度に受け止めておくといいと思います。

 自分にとって何が大事なのか、「通勤時間」「駅前の魅力」「実家からの距離」などを勘案しつつ、フィーリングが合う街を見つけることをおすすめします。

<TEXT/のらえもん>

湾岸タワマンに住んでいるという設定の湾岸妖精(ブロガー)。「マンション購入を真剣に考えるブログ」を運営。人間界ではいたって普通の都内勤務サラリーマン。著書に『専門家は絶対に教えてくれない! 本当に役立つマンション購入術』(廣済堂出版)など

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