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明石前市長暴言、行政による“地上げ”の難しさを不動産業界人が語る

ビジネス

 職員への暴言問題で辞職した明石市前市長の泉房穂(いずみふさほ)氏。

 きっかけは道路用地の買収を巡ってのものでした。道路行政における権利調整、いわゆる地上げとは、どのような仕事なのでしょうか。

不動産

※画像はイメージです(以下同じ)

 不動産実務に詳しい「全国宅地建物取引ツイッタラー協会(全宅ツイ)」に話を伺いました。

意外に大変、道路拡幅は50年計画!?

 全宅ツイのかずお君(@kazuo57)は道路拡幅について、こう解説します。

「道路の拡張ってすごい時間かかります。役所が計画決定してから実施まで50年とかザラにありますから。今実行されている都市計画にしても、じつは昭和30~40年代に策定されたものが多いのです」

 一朝一夕には事を成せない長期事業とのことです。では、予定地の所有者は50年間更地のまま待ち続ける必要があるのでしょうか。

「流石に『50年間更地にしとけ』とはいえないので、建物は建てられます。でもしっかりしたものを建てられると将来困るので、3階建て地下なしの非堅固な建物ならOKとなっています」

 自分が所有する不動産でありながら制約がかかる時点で、かずお君は「土地所有者はけっこうムカついているはず」としています。

先立つものがないと買い取れない“土地収用”

 事業認可され、いよいよ所有者から土地を買う段階に。しかしそこでも課題が。

「自治体と言えども無理やり土地を取り上げることはできません。日本では個人の財産権が憲法で保障されてるので。そこで『お願いだから売ってください』と交渉を粘り強く一軒、一軒やってくことになります。

 どうしても話が擦り合わない場合や、その事業を急がないと大きく公共の福祉を阻害する場合のみ、“土地収用”という手続きで自治体が土地を買い取ることもできますが、あくまで最終手段ですね」(かずお君)

 加えて、予算の問題も出てきます。リチャードホール(@okirerebc)さんは「行政の地上げは難易度が高い」とし、その理由をこう話します。

「買収する行政側として予算があるし、期限もある。正直そこまで良い条件提示はできないんですよ。だから民間業者がやる普通の地上げよりも、制約がある分、難易度が高いイメージです。

 それを役所の公務員が対応するのは、ある意味酷ではあります」

 各地の自治体において財政が厳しい昨今、用地を買い取るにしても先立つものがない状態に陥りやすいようです。

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