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孤独な人の「早死にリスク」は運動不足の約3倍

 孤独、そして死というキーワードが並んだとき、多くの人が連想するのは「孤独死」だろう。

ぼっちはマジで死に至る

 誰にも気づかれず、適切なケアを受けることもできず、一人寂しく死んでいくのは確かに怖い。だが、それ以上に怖いのは「孤独であること自体が死の原因になる」という事実だ。

孤独が寿命に与える影響は「運動不足の約3倍」

 昨今、「孤独」と「病気」を結びつける科学的なエビデンスは山のように積み上がっている。いまや「肥満になると早死にする」と同じレベルで、万病のもとと見なされているのだ。いや、肥満と同じレベルというのは正確ではない。

 米ブリガムヤング大学のジュリアン・ホルトランスタッド教授の発表(2010年)によると、孤独が寿命に及ぼす影響は、肥満や運動不足、酒の飲みすぎよりも甚大だという。

 いくら健康のためにジムに通ったり、食事に気を使ったりしていても、孤独にはその効果を打ち消すほどの破壊力があるということだ。

寿命に与える影響度の比較

【寿命に与える影響度の比較】「孤独な人と孤独でない人」「肥満している人と痩せている人」などで寿命を比較し各項目の寿命への影響度を割り出したもの。0は「寿命への影響なし」の意

 この発表は、20世紀から21世紀にかけて行われた148の研究を対象に、広範な年齢の30万人以上のデータをメタ分析して得られた結果なので、その信ぴょう性は高い。

 基本的には高齢者の問題である「孤独死」と違い、「孤独による死」は現役世代をも容赦なく蝕む。たかが「ぼっち(孤独)」と侮るなかれ!

ぼっちの「早死にリスク」を医学的に解説

 2018年初め、イギリス政府が「孤独担当大臣」なるポストを新設したというニュースを耳にした人もいるだろう。孤独がイギリスの国家経済に与える影響は、年間320憶ポンド(約4.9兆円)に上るという。その少なからぬ割合を占めるのが、医療費や介護費。孤独が深刻な健康被害をもたらすという事実が、国を動かしたのだ。

 だが、具体的にはどのように、孤独は人体にダメージを与えるのだろうか? そのメカニズムを、医学論文に詳しいサイエンスライターの鈴木祐氏はこう解説する。

「人類は、長らく社会的な動物として進化してきました。敵と戦い、食料を確保するにはグループ活動が不可欠。古代の厳しい環境では、グループからの離脱は死を意味します。そのため、私たちの脳には“人間関係が希薄な環境”に対応するためのシステムが備わっていません。“孤独”を感じると、それはダイレクトに“脅威”として脳に認識されるわけです」

 孤独を感じた脳は、脅威に対してさまざまな抵抗を始める。

「外敵から身を守るための免疫システムのひとつが“炎症”です。虫に刺された患部が腫れ上がるのもそうですし、風邪のウイルスに対して鼻水やくしゃみが出たり、発熱が起きるのもそう。脳が孤独を感じると、免疫システムが過剰に働くので、全身で炎症が起こります。

 炎症が長期にわたると、血管や細胞などの周辺組織にまでダメージが及び、全身の機能が下がっていく。炎症のレベルは老化のスピードを左右するキーファク・タターといわれ、100歳を超えるスーパー高齢者は、一般的な高齢者と比べて炎症レベルが異様に低いことがわかっています。逆に言えば、炎症レベルが高いほど、早死にする可能性が高いのです」