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「週3日、徹夜できないなら死ね!」ブラック企業脱出者が語る地獄の日々

ビジネス

過呼吸、蕁麻疹、ついに限界を迎える

 限界を感じた内田さんは、3か月の試用期間を目処に退職を決意します。

「出勤途中で過呼吸になったり、蕁麻疹が出たり、もう体力的にも精神的にも限界で、『試用期間は頑張ったんだ』と自分に言い聞かせて辞めることにしました。

 退職の意志を伝えると上司の態度が豹変して『あなたは見込みがあるから辞めるのはもったいない。正式に採用したら待遇を改善する』とかなり引き止められました」

 ブラック企業は慢性的に人手不足なので、すんなりとは辞めさせてくれないことも多いみたいですね。

「同僚を見ても待遇が改善される可能性がないのは明らかだったので『私はこの仕事に向いていません。退職して田舎(北海道)に帰ります!』と言って、押しとおしました」

「田舎に帰る」とまで言われては引き止めるのは無理だと判断したのか、内田さんは退職することができたそうです。

体力に自信があっても、ブラック企業はムリ!

顔を覆う女性

 内田さんは学生時代ずっとスポーツに打ち込んできたため、体力には自信があり、厳しい環境にも耐えられると思っていたと言います。

「睡眠不足の上に食事もままならない状態が続いて、勤めていた3か月間で体重は9キロ減り、心身共に限界を超えてしまいました。ブラック企業には、感情的に怒鳴る人や、理不尽なことを言う人が多いので、それを受け流す心の余裕もないとやっていけない。でも働くうちに体力が尽きて、心の余裕なんて全くなくなってしまいました」

 内田さんは現在、田舎に帰ることはなく、別の制作会社に転職し、基本的に定時で帰れるようになったそうです、

「今の会社は給料もいいので、転職には満足しています。多少忙しい時期もありますが、あの会社にいたころに比べればまったくツラくありません」

 充実した表情で語ってくれた内田さん。同じ職種でも、転職で天と地ほど環境が変わるんですね。思い切って逃げてみると、明るい未来が開けるかもしれません。

特集・ブラック企業の辞め方 Vol.1 ―

<取材・文/都田ミツコ イラスト/zzz(ズズズ)@zzz_illust

編集者・ライター・エッセイスト。日課は今朝計った体重を妹にラインで送りつけること。

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