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ユニクロが逆転首位に。危機の「大手下着メーカー」が“脱下着”を目指すワケ

ビジネス

 下着大手ワコールホールディングスが、2022年11月11日に「フレックス定年制度」の実施を発表しました。聞きなれない言葉ですが、いわゆる希望退職者の募集です。子会社で国内事業を展開するワコールの45歳以上の管理職未満、50歳以上の管理職、定年後再雇用者が対象。250名程度を想定しています。

ワコール

ワコールホールディングス ©Nagahisa_Design

 また、2022年11月30日付でワコールの代表取締役だった伊東知康氏が退任しました。業績悪化の引責辞任とみられています。かつて国内の女性用下着でシェアトップを守っていた優良企業、ワコールに何が起きているのでしょうか。

百貨店や量販店への依存が痛手に

 ワコールホールディングスは11月11日に業績の下方修正も発表しています。2023年3月期の売上高にあたる売上収益を予想比2.4%減の2000億円に引き下げました。深刻な落ち込み方です。

 販売チャネルの50%以上を百貨店や量販店に依存しており、直営店が15%、ECが10%と低い傾向にありました。コロナ禍で百貨店を中心に営業時間の制限を受けると、ワコールもその影響を真正面から受けます。

人員削減の原因はコロナ禍の売上減?

 2021年3月期のワコール国内事業の売上高は前期比21.5%減の861億円。1000億円を大幅に割り込みました。2022年3月期は回復が期待されていたものの、2.3%増の881億円に留まりました。

ワコール

※決算短信より

 ワコールの業績で注目したい点は、コロナ前から売上高が縮小していること。2017年3月期の売上高は前期比1.8%減、その次が1.9%減と毎期2%程度減少していました。

 売上高の減少は、国内女性下着マーケットの縮小と関係しています。矢野経済研究所によると、2016年の女性下着の市場規模は前年比1.2%減の6240億円でした。毎年1%程度の縮小が続いていたのです

ワコール

※矢野経済研究所「レディスインナーウェア・メンズインナーウェア小売市場に関する調査を実施」より

 この市場規模に照らし合わせるとよくわかりますが、ワコールの売上減はマーケットの縮小ペースよりも速いペースで進行しています。すなわち、シェアを奪われていたのです。

 国内の女性下着市場でトップに躍り出たのは、長年のワコールのライバル、トリンプではありません。ユニクロです

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