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死んだミュージシャンのライブが流行中。最新ホログラム技術に賛否

コラム

日本でもホログラム技術でライブが!

 日本でも、平井堅(46)が映像の坂本九(1941-1985)と「見上げてごらん夜の星を」を披露した第54回紅白歌合戦が記憶に新しいところです。ただし、これらの場合は、映像や音声は古いままでした。つまり、死者は死者のまま扱われていたわけですね。

 ところが、現代のホログラムには、その場で演奏を行っていると見えるように細かな調整が加えられるのだそう。

 生バンドや照明などと組み合わせたときに違和感が生じないために、アーカイブの音声や映像をとことんセッティングし直す。ロニー・ジェイムス・ディオのツアーも、そのせいでスケジュールが遅れたといいます。

 でもこれって、無理やり生き返らせられるだけじゃなく、いま生きている人間の都合でどうにでも変えられてしまうってことでもあるんですよね。

故人のパフォーマンスを否定することに賛否

 こちらの事情でしっくりこないというだけで、その当時の環境だからこそ発揮できた故人のパフォーマンスを否定する作業とも言えるわけです。よくよく考えたら失礼だし、気味が悪いと思いませんか?

 実際、ロイ・オービソンのコンサート評は厳しいものでした。

「観客は実在しない人間に向けて歓声を送らねばならない皮肉に苦しんでいるように見えた。拍手の影にはぎこちない笑いが潜んでいたのである」(英紙『The Telegraph』電子版 2018年4月19日配信 筆者訳)

 このように、死んだ当人が無関係なのはもちろん、ファンですら途方に暮れてしまうホログラムライブ。それでも行われるのにはワケがありそうです。 

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