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被害総額15億円!実名で語る地面師の素顔「麻布十番の上島珈琲で…」/#全宅ツイ

ビジネス

百戦錬磨の私でも引っかかった詐欺

 たいていの地面師は見破れるというテツクルさんでも、過去には騙された経験もしています。

「息子が、なりすましの父親役を連れてきて親の家を担保に1000万円借りに来た時ですね。息子は間違いなく本物だったので、自宅を見せてもらった時も不自然な様子はなかったんです。なので父親が息子に担保提供する形で契約することに。もちろん自宅に抵当権は設定しました」

 契約後しばらくしてなりすましが発覚、すぐに本物の父親に会ったものの、取り付く島もない様子だったといいます。

「何を言っても『それなら息子を警察に突き出してくれ』と言うばかり。結局、後ろで泣いていた母親が定期預金解約して1000万円は弁済してくれました」

 家庭内に何やら遺恨を残しそうな結果ですが、きちんと回収するのはさすがプロです。

「馬鹿な子ほど可愛いってやつなんですかね。息子は借りた1000万円をヤミ金の返済にあてたみたいです。最初借りるときは『アプリの開発資金に使うんだ』とか言ってたのに」

地面師の最新手口とは?

地面師

©Zengame CC BY 2.0

 最後に世間に警鐘を鳴らすべく、不動産詐欺の最新手口をテツクルさんに解説してもらいました。

「複雑な手口だと、不動産を所有する法人の届出印を無断で改印、代表者変更と本店移転登記を勝手にかけて、不動産に抵当権を設定されてしまうというのがあります。これは実際に、都内某貸し倉庫会社が被害にあった手口です」

 一方、複雑でないほうはかなり大胆な手口でした。

「三為契約を悪用したものですね。三為というのは簡単に言うと転売のことで、買主Aと売主Cの間に、転売をする三為業者Bが存在する不動産取引です。決済は銀行が部屋を2つ用意して行い、1部屋に買主Aが待機、もう1部屋に売主Cが待機します。AとCが直接対面することはありません。

 決済の流れは買主Aから売買代金を三為業者Bが預かり、売主Cが待つ部屋に移動する手はずなのですが、そのときに走って逃げるという手法です。ネタみたいな手口ですけど、本当に大人が現金掴んで全力ダッシュで逃亡するんです。こうなるともう、詐欺というよりただのドロボウです」

 一口に地面師と言っても、知能派から体力派までさまざまなようです。

<取材・文/栗林篤>

【テツクル @tetukuruixi
貸金業協会員だから安心の街金です。10パーで借りてきたお金を15パーで貸すお仕事です。全宅ツイに金主部15パー班の新設を虎視眈々と狙ってます

「全国宅地建物取引ツイッタラー協会(全宅ツイ)」は、数百億円の不動産を取引する不動産ファンドのAMrからルノアールにたむろする無免許ブローカーまでを会員に擁する、その保有資産、預り資産、グリップ資産の合計が2兆円を超える不動産Twitter最大の業界団体です
公式キャラクター・グリップ君Twitter:@kuso_bukken

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