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「犯罪者は誰一人例外なく、自己重要感が低い」元刑事が教える自己肯定感より大事な「自己重要感」とは?

コラム

※画像はイメージです(以下同)

―犯罪者は誰一人例外なく、自己重要感が低い。

千葉県警 巡査部長時代、痴漢、盗撮、違法風俗店の取締りなどを担当していた山嵜史恵氏は、数々の取調べの経験から、そう悟ったという。山嵜氏は現在、一般社団法人日本刑事技術協会でメンタルやコミュニケーション専門家として講師を務めている。

自己重要感とは何か? 高い・低いを知る方法は? 高める方法は? 山嵜氏に話を聞いた。

「自己重要感」とは?「自己肯定感」との違い

山嵜氏は、自己重要感について次のように考えているという。

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一般社団法人日本刑事技術協会 講師 山嵜史恵氏

「自己重要感は、『自分の中にある考えや価値観を肯定する思いの強さ』と定義しています。あなたが自分の考えを強く肯定し、大事に思っていれば、自己重要感が高い状態です。

似た言葉に『自己肯定感』がありますが、これは『自分の考えや価値観に対して同意する感覚の強さ』のことを意味します。一方で自己重要感は『自分や自分の考えを大事に思う感覚の強さ』なので、まったく違います。

例えば『私はダメな人間だ』と思ったとします。自己肯定感が高いと、『私はダメな人間だ』という考えに対して『その通りだ』と同意してしまいます。しかしダメな人間であることを肯定してしまうと、自分を大事にする自己重要感とはかけ離れてしまうでしょう。自己重要感が高ければ、『私はダメな人間だ』と思ったとしても、すぐに『いや、自分は素晴らしい考え方や価値観を持っている』と切り替えられるはずです。
そのため、自己肯定感が完全に良いものというとらえ方には注意が必要だと思っています」

自分の自己重要感の高さを知るには?

気になるのが、自分は自己重要感が高いのか低いのかということ。どのようにして知ることができるだろうか?

「2つあります。一つは、人から文句や傷つくことを言われたり、責められたりしたときに、どんな感情がわくかです。悲しい、怒り、不安などのマイナス感情が大きければ大きいほど、自己重要感の低い可能性があります。
もう一つは、一日の中で仕事や人付き合いなど、どれくらい楽しさや面白さというプラスの感情を感じているかです。大きければ、自己重要感は高い可能性があります」

自己重要感を高めるとどうなる?

自己重要感が低いと自覚した人もいるかもしれない。そもそも、自己重要感を高めるとどんな変化が起きるのか?

「日々、関わる人の怒りや不安、恐れなどといったマイナス感情の影響を受けずに、常に気分よく過ごせるようになるでしょう。また自分を軸に行動し、物事を選択していけるので、人間関係にそれほど悩まなくなります。また、自分のやりたいことに周囲の目を気にせず、挑戦できるでしょう」

自己重要感を高めるステップ

ぜひとも自己重要感を高めたいものだ。山嵜氏に自己重要感を高めるステップを教えてもらった。

1.自分の嫌いな部分を明確にする。

2.その嫌いな部分に、本当に魅力がないのか疑ってみる。

3.「この嫌いな部分があってよかった」と思える経験を思い出す。

4.嫌いな部分を表した言葉を、良い言葉に置き換える。
例)「怒りっぽい」→「エネルギッシュ」「元気がいい」

5.良い言葉に置き換えた自分の状態にぴったりの、素敵な人を見つける。

「なぜ素敵な人を見つけるのかというと、”隣の芝生は青く見える”そんなことわざもあるように、人は自分よりも他人がよく見える心理傾向にあることに関係しています。自分を褒めることがむずかしくても、自分と同じ性質を持つ素敵な人を見つけることで、自分も素敵だという確信が持てるようになり、自己重要感を高めることにつながります。
見つけた後は、自分を卑下したり、責めてしまうことがあるたびに『あの人(素敵な人)と私は似ている』と思うことで、自信にもなります」

自己重要感を高める際の注意点

自己重要感を高めるための方法を実践するときには、注意があるという。

「他者との関係性には注意が必要です。例えば、ドタキャンなど、他者と会う予定のあった当日に自分の都合を優先させるのは、一見すると自己肯定であり、自己重要感があるからだと思う場合もあるかもしれません。しかし、決してそうではありません。

その結果、周囲から自分がどんな扱いを受ける可能性があるでしょうか。それを考えれば、決して自分を大事にする選択ではないことが明らかです。先述の通り、自己重要感は、ただ自分を闇雲に肯定することではありません。他者との関係性も含めて自分を大事にできる人間、それこそが自己重要感が高い人間といえるのではないでしょうか」

もし自己重要感が低いと感じているのなら、ぜひ取り組んでみよう。

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【取材協力】
山嵜史恵氏
一般社団法人日本刑事技術協会 講師
“オーラ刑事”と呼ばれ、目には見えない感情の活かし方を伝えることで個人起業家のクライアントからは、月商100万円、副業で月商40万円になったなど 喜びの声が絶えない。また自身も、起業後たった半年で、月商250万円の成果をあげている。
https://j-keiji.org/

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