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上司はリスクだらけ?コナミで殴打事件も。3年経過、パワハラ防止法の現在地

コラム

今年の4月で中小企業にパワハラ防止法が施行されて1年が経過しました。今年の6月には大企業にパワハラ防止法が施行されて3年が経過します。パワハラの法律ができたものの、実際に企業のハラスメント対策は進んでいるのでしょうか?

部下に注意する上司 ハラスメント パワハラ防止法

※画像はイメージです(以下同)

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会社によっては「前よりマシになった」「新たに相談窓口が設置された」「研修に力を入れるようになった」「形だけ整えて実態は何も変わっていない」など、筆者は色んな声を聞いています。

本記事ではハラスメント専門家である一般社団法人日本ハラスメント協会代表理事の村嵜要がパワハラ防止法の現在地と上司のリスク対策についてアドバイスをお伝えします。

【コナミデジタルエンタテインメントで元上司が殴られる事件発生】

2023年4月にゲームメーカー大手「株式会社コナミデジタルエンタテインメント」社員が元上司の頭を消化器で殴ったとして、殺人未遂容疑で逮捕される事件がありました。背後から元上司の頭を消化器で殴り、7日間のけがを負わせました。

逮捕された男性は2年半ほど前に、同じ部署の別チームに異動していましたが「現在もパワハラを受けていて、生きるために殺すつもりで殴った」と容疑を認めているということです。

逮捕された男性と元上司は以前同じチームで働いていました。その時に元上司からパワハラを受けていたことを会社に相談していましたが、会社側は「パワハラの事実はない」と判断していたということです。

【パワハラ防止法の現在地】

パワハラが背景とされるコナミの事件があったものの、パワハラ防止法の現在地として、実際に企業のハラスメント対策は進んでおり、企業側も相談者の要望を真摯に受け止めようとする姿勢が多く見られます。

もちろん、企業によって進み具合は異なります。筆者が代表理事を務める日本ハラスメント協会の外部相談窓口でも、さまざまな相談に対応する日々です。

なかでもハラスメント調査の依頼が増えており、ハラスメントの認知が高まっていることから、企業側は真摯な対応なくしては、通常業務に支障が出てしまうような状況です。社内の調査結果に相談者が納得できない場合、外部である日本ハラスメント協会に調査依頼がくることがあります。二段階の調査で解決に向かうケースが増えていることは、パワハラ防止法が施行されたことによる影響のひとつと考えます。

【パナソニックコネクトがセクハラ1回で降格の制度導入】

パナソニックホールディングス傘下のパナソニックコネクト株式会社は昨年10月、1回でもセクハラがあった場合に降格を前提とする罰則制度を導入しました。海外では1回のセクハラで即降格はあたりまえとも言われていますが、日本の企業では最も厳しいレベルとされています。筆者はこの件に関して共同通信社から取材を受け「長期間や複数回のセクハラで降格することはあっても、1回で即降格は珍しい」と回答。同社は厳罰化することで、セクハラ防止の徹底を図る狙いがあるとされています。

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