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レジェンド声優・山寺宏一「僕はSNSを気にする気弱な61歳」仕事への“意欲”も

暮らし

上京してからうなぎ屋でバイトしていた

山寺宏一

――山寺さんは24歳で声優デビューされてから、ずっと第一線にいるイメージで、下積みの印象がありませんね。

山寺:22歳で大学を卒業して上京し、俳優養成所に2年間通いました。そのあとに系列の事務所に入ったので、おっしゃる通り、そんなに下積みはないかな。東京に来てから食えるようになるまでは、うなぎ屋でバイトをしてましたけど。

 そこは約2年前に店を閉めたんだけど、正式に「バイトを辞める」とご主人に言えてなかったので、それでいよいよ本当に(バイトを)辞めたってことかな(笑)。家族ぐるみで応援してくれて、店を閉めた日もご夫婦と僕と3人で一緒に飲みました。ご主人に「40何年間お疲れ様でした」って泣きながら飲みましたよ。

――20代に通ったバイト先のご家族と、ずっと繋がりがあるんですか!?

山寺:僕は上京してからはそこでしかバイトしてないんです。「養成所で舞台をやるから、土日しか来れない」と相談したときにも、「他のバイトを雇ってあるから、通えなくなることの心配は大丈夫だよ。それよりバイトしないと生活に困るでしょ。時給上げてやるよ」って、本当に恩人ですね。

四畳半生活でも「苦労エピソードはない」

かいけつゾロリ

(C) 2022 原ゆたか/ポプラ社、映画かいけつゾロリ製作委員会

――すごい! 感動的なお話ですね。

山寺:当時は共同の流しのある1万7500円の四畳半のアパートに住んでいて、自前の炊飯器の内釜で顔を洗ってました(笑)。顔を洗ったやつで、実家から送られてくるお米を炊いて食べて暮らしてました。でもそんなのは別に苦労エピソードじゃないです。

――そうですか?

山寺:22歳まで実家暮らしで親のすねかじって大学を卒業して、友達とかはもうみんなとっくに働いているのに、やっと「ひとりで頑張ります」って上京して、でもたまに仕送りもらってたから、そんなのは苦労じゃないですね。仕事を始めてからは毎年少しずつ仕事が増えていきましたし。ドーンと上がることはなくても、下がることもなかったので、これから壁とか挫折とか来るのかな(笑)。

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