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「100万円をホストのために」東北の優等生が“ホス狂いの風俗嬢”になったワケ

ビジネス

 いま歌舞伎町で起こっていることは、暴力団の衰退、ホストを頂点としモテない中年男性を最底辺とする“カネの食物連鎖”の固定化、Z世代(1996年以降生まれ)の若者たちの台頭、そして「男に貢ぐ」ために息を吸うように売春する女性たちの増加だ。歌舞伎町の多くの女性は失業や低収入ではなく、男に貢ぐために貧困化している。

歌舞伎町

画像はイメージです(以下同じ)

 歌舞伎町は欲望の街とよくいわれる。人流が激しい歌舞伎町で起こる現象は、いずれ東京の他の繁華街に伝染し、最終的には地方に広がっていく。歌舞伎町で起こることは前兆現象であり、おそらく近未来の日本で起こることだ。歌舞伎町で生きる貧困女性たちの生々しい声から、自分が生きる日本の未来を感じてほしい

 貧困女子たちの生態を追い続けてきたノンフィクションライターの中村淳彦氏@atu_nakamura)が、東洋一の繁華街の裏側と貧困女子たちのリアルを描写した1冊が『歌舞伎町と貧困女子』(宝島社)です(以下、同書より一部編集のうえ抜粋)。

“ホス狂いの風俗嬢”は東北の優等生

「大学進学で東北から上京しました。いま住んでいるのは神奈川県にある大学の近くで、家賃は4万5000円なので割と安い。生活費と家賃は親が払ってくれています。学費は免除、給付型の奨学金を利用しています。高校のときの成績はよかった。大学でも高成績をキープしています」

 現役女子大生のホス狂い、尾島美幸(仮名・21歳)は理知的な雰囲気をまとう清楚な女の子だった。神奈川県にある中堅私立大学に通う大学3年生。入学試験の点数が高得点だったので学費は全額免除となっている。

 外見だけでなく、実際に優秀な女の子だった。高校時代は強豪サッカー部のマネージャーを3年間務めて、高校3年間の平均評定は4.6。絵に描いたような優等生だったという。父親は県庁勤務、母親は司法書士で地方では文句なしの家柄だった。毎月家賃を含めて10万円の仕送りをもらっている。

 そんな彼女は、いまホス狂いである。大学以外の時間はすべて女子大生専門のデリヘルで働き、少ない空き時間を見つけてパパ活もしている。デリヘルとは無店舗型ヘルスという業態で、本番以外のすべての行為を提供する内容でハードな仕事だ。高校時代、サッカー部員たちの憧れの存在だった優等生は、どうして歌舞伎町のホス狂いになってしまったのか。

ホストクラブに行くようになったきっかけは…

歌舞伎町

『歌舞伎町と貧困女子』(宝島社)

 出会いはマッチングアプリのTinderだった。1歳年上のイケメンからLikeが来て即座に返信した。メッセージで意気投合して、すぐに会うことになった。

「出会ったとき、好きだった彼氏とお別れした直後で自暴自棄になっていた。彼氏は就職を控えていて、よくわからない理由でフラれて、かなり落ち込んでいる時期でした。マッチングした彼とご飯に行くことになって、そこで『ホストクラブに来てみない?』って誘われました。年齢的にも20歳になったし、ホストに行ける年齢だなって。ホストクラブは前から興味があって行ってみたいと思っていたので、誘いに乗って行きました

歌舞伎町と貧困女子

歌舞伎町と貧困女子

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