“大手製紙メーカー”で大規模リストラ。黒字予想から「純損失300億円」に急転したワケ
新興国の旺盛な需要を取り込めるか
売上高の成長の指針となるのが、「第4次中期事業計画」。大王製紙は現在の主力事業である段ボールや新聞の成長には期待していません。「エリエール」や「グーン」などのH&PC事業を伸ばす計画です。
2020年年度には全体の売上高を7200億円。そのうちの半分に当たる3600億円をH&PC事業で稼ごうとしています。2021年度の2573億円から1.4倍に引き上げる野心的な目標です。
この事業を引き上げるカギを握るのが海外展開。2021年度のH&PC海外事業の売上構成比率は12.1%ですが、18.8%まで引き上げようとしています。大王製紙が海外攻略に活用しているのがM&Aです。2020年2月にブラジルとトルコの衛生用品メーカーを次々と買収しました。
かつては1年で大復活を遂げたことも
新興国のブラジルでは、トイレットペーパーにおいて付加価値の高いダブル、トリプルの需要が伸びているという調査結果を得ました。大王製紙はブラジル向けの3枚重ねのトイレットペーパーを開発し、2022年4月から発売を開始しました。
エリエールは日本のティッシュペーパーでトップシェアを獲得するなど、大王製紙は高い製品開発力やマーケティング力を持っています。また、紙おむつは中国でも人気を博し、海外展開の主力商品となりました。ポテンシャルはあります。
大王製紙は1962年に原料高に襲われ、会社更生法の適用を申請したことがあります。そこからわずか1年で更生手続きを完了するという大復活を遂げました。今回の組織のスリム化も、もう一段成長するチャンスになるかもしれません。
<TEXT/中小企業コンサルタント フジモトヨシミチ 編集/ヤナカリュウイチ(@ia_tqw)>