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「なんもしない人を貸し出す」サービスが話題。“中の人”に聞く脱力哲学

学び

 数々のネットトレンドを発信してきたTwitter。最近、注目を集めているものに「レンタルなんもしない人@morimotoshoji)」なるアカウントがあります。

レンタルなんもしない人

「レンタルなんもしない人」(森本さん)のTwitterアカウント

 DM(ダイレクトメッセージ)で依頼を受けて“なんもしない”ことを条件に依頼者に自身を貸し出しているようですが、同アカウントのツイートを見る限り、依頼者はかなり多いようです。

“なんもしない人”が果たしてサービスとして成立するのでしょうか。同アカウントの主である森本祥司さん(34歳)に話を聞いてみました。

「レンタルなんもしない人」のサービス内容とは?

森本さん

「レンタルなんもしない人」の企画者・森本祥司さん(34歳)

――「レンタルなんもしない人」のサービス内容を改めて説明してください。

森本祥司(以下、森本):「レンタルなんもしない人」というのは僕自身のことで、ざっくり言うと「僕を貸し出しますよ」ということです。たとえば、1人では行きづらい店に一緒に行くとか、何人かでゲームを楽しむ際の人数合わせ、花見の場所取りですとか。人間ひとり分の存在だけが必要になる場面があるかと思います。そういうときに利用してもらうという。

――サービスの利用にあたって料金などは発生しますか?

森本:国分寺駅から現場に向かう際の往復交通費と、飲食代などの諸経費を負担してもらいます。基本的に報酬はもらっていません。お気持ちということで何かしらのお金や物を受け取ることはありますけど。

――“なんもしない”ということですけど、本当に何もしないのですか?

森本:はい。何もせず身体ひとつ貸し出すイメージですね。簡単な受け答えだったり、相手の話に反応したりとかですね。自分から話題を振ることはほとんどありません。

 ただ、“なんもしない”ということに明確な基準があるわけではないんです。そのときの気分や依頼者によって変わったり、日に日に変わってきている部分もあります。

――結構、曖昧にしているところだと。

森本:あえて基準を設けるとしたら、それをすることがストレスに感じるかどうかです。仕事にしろ、プライベートにしろ「何かしている」、あるいは「何かしなきゃいけない」という意識がストレスに繋がってくると思うんです。

 例えば人間は常に呼吸して生きてますが、それを特別意識することはありません。何かを考えたり、何かしてるという意識があれば、それが生じた時点で何かをしていることになります。“なんもしない”の基準はそんなところです。

依頼者にとっては“変に気を使わなくていい存在”

――依頼者はどんな方が多いのでしょうか?

森本:基本的に“なんもしない”ので、こちらから年齢や職業といった突っ込んだことは聞きません。ただ、当然Twitterの利用者層と重なると思うので、20代から30代前半くらいが多い気がしますね。

 性別に関していえば、女性の方が多いですね。おおよそ7割くらいが女性です。自分から年齢を教えてくれる人もいます。把握しているところだと、一番下はは18歳の男性で、朝食を一緒に食べてほしいという依頼でした。

――最年長だと何歳の方からの依頼でしたか?

森本:最年長は70代の方。こちらに関してはTwitterで依頼を受けたわけじゃないんですよ。たまたま、その方のお兄さんと知り合う機会がありまして、弟さんが事故に遭われて半身麻痺になり、いわゆる老人ホームのような施設で寝たきりに近い状態でいつも暇しているから話し相手になってほしいとのことでした。

 ちゃんとした傾聴ボランティアのようなところに頼んだほうがいいんじゃないかとは思いましたけど、ただ話を聞くだけという条件で了承してもらったので引き受けることにしました。

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