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上空はマイナス50度の極寒の世界

飛行機

 地上から見れば爽やかな空も、雲の上は極寒の世界である。気温は高度が高くなるごとに下がるため、高度1万メートルではマイナス50度にもなる。そのため雲の中のような水分が多いところを飛ぶと、機体の表面に氷が付着してしまうのだ。

 氷がつくくらい問題ないのではと思うかもしれないが、氷の付着は故障の原因になる。翼に付着すると翼形が変わり、揚力が大幅に減少するため翼の性能が落ち、失速する可能性もある。また、尾翼に付着すれば舵が重たくなるので、操縦に支障をきたす。

 こうした障害を防ぐため、機体には氷が付着しないようにする防氷系統と、付着した氷を取り除く除氷系統という装置が装備されている。いずれも加熱した空気や電熱線など熱を利用して氷による障害を防ぐ。

極寒なのに翼は凍りつかないのか?

 たとえば、主翼など広い面積の防氷には、ガスタービンエンジンの圧縮機から取り出した高温高圧の空気(タービン・エア)を流し込んで防氷し、ピトー管やエンジン空気取り入れ口には電熱線が組み込まれ、必要に応じて加熱できる。

 また、いったん付着した氷は除氷装置によって取り除かれる。たとえば、主翼や尾翼の前縁はブーツと呼ばれるゴムになっており、空気を注入することによって膨らませ、その勢いで氷を除去するのである。

 さらに、氷点の低いメチルアルコールなど除氷液を用いる機種もある。専用タンクから氷が付着した箇所までパイプで液を流すが、パイプの整備が必要なことなどから最近では敬遠されているという。このように、飛行機には私たちの知らないしかけがたくさんあるのだ。

<TEXT/エアライン研究会>

「人類最大の発明は飛行機である」といってはばからない、自他ともに認めるエアラインファンによって結成された研究チーム。幅広いネットワークを活かして収集した国内外の航空情報を、より多くの人に提供し、飛行機の魅力を伝えることをモットーとしている。あくまでも乗客の視点にこだわって、航空業界の動向を見守っている

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