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住民猛反対で「国費30億円パー」になった土地をまとめ上げた、業務スーパー創業者の“驚きの提案力”

ビジネス

地熱開発をする土地に法人を設立

町おこし

地熱を利用した空心菜の栽培

 さらに岡本氏は、自治体に対する具体的な提案内容についてこう語る。

実際に手掛けているもので言うと、熱水を利用したバナメイエビやオニテナガエビの完全養殖。当社の保有する温泉水は稚エビの育成にとても適合しているため、低コストなうえ短期間で養殖できます。また、東南アジア原産の作物・空心菜、南国フルーツなどの育成も、熱水利用のビニールハウスで年中可能です。

 熱水を利用したこのような事業を展開していくことで、地元の雇用も生まれ、地域活性につながる。そういった案を具体に提案しました」

「町おこしエネルギー」では、地熱発電により地元の雇用が生まれることを大切にしており、地熱開発をおこなう各土地に現地法人を設立。発電所で発電した売上の法人税はすべて地元に落ちるようになっている。「こういったやり方も、地元から賛同いただける大きな要因だと自負しています」と岡本氏。

何十年塩漬けだった場所の開発も可能に

町おこしエネルギー

岡本道暁氏。株式会社町おこしエネルギー事業開発部部長

「我々は、『小国町がよくなるために地熱の開発をしたい。町の地下資源は小国町のためのもの』いう認識のもとで、地域との共存共栄を図っています。何十年も塩漬けだった場所の開発を進められたのも、そういった意思を示し、具体案を提案できたことが大きいですね

 そのほか、地熱事業の計画を進めている湧水町は、霧島市という大きな観光地の隣にあり観光客もたくさん来られるものの宿泊するところがありません。高齢化や後継者不足にも悩まれていたため、近くで地熱事業をおこなう我々が事業を引き継ぎ、地熱の熱水を利用した温泉付き宿泊施設を運営させていただく運びとなりました。

 地熱事業とともに、『西郷隆盛ゆかりの栗野岳温泉がある湧水町を自治体の皆様と盛り上げていけたら』と考えています」

 実は、「町おこしエネルギー」が小国町で地熱開発に着手することができたのは、地元との共存共栄プランの提案だけではなかった。まったくの畑違いと思われていた神戸物産時代のノウハウがなければ、実現しなかった可能性もあったのだ。

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