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パワハラを訴訟ではなく「柔軟な話し合い」で解決するメリット・デメリットとは

学び

 職場におけるハラスメントは上司や相談窓口に電話をしても、結局何も変わらなかったり、ハラスメント認定されても処分が甘かったり、懸念点があるにもかかわらず半ば強引に事案を終息させるケースが多いです

うつ

※画像はイメージです(以下同じ)

 とはいえ納得できない場合、訴訟を起こす人もいます。ただ、訴訟は費用、時間、精神状態等を総合的に考えたとき、ハードルが高いと感じる人もいるかと思います。その場合、訴訟以外にも紛争を解決する選択肢として「ADR」を利用する方法があります

 本記事ではハラスメント専門家である一般社団法人日本ハラスメント協会代表理事の村嵜要がADRを利用するメリット、デメリットについて、わかりやすく解説いたします(以下、村嵜氏寄稿)。

ADR(裁判外紛争解決手続)とは

 訴訟手続によらない紛争解決方法を指します。当事者の間に公正な第三者の専門家が入ることにより、柔軟な話し合いによる解決を目指すもの。ADR(Alternative Dispute Resolution)の略。

【ADRの特徴】
 裁判外紛争解決手続(ADR)は非公開で実施。紛争内容のニーズに応じた手続進行が可能で、原則1~4回以内の話し合い(目安1~3か月以内)で解決します。調停人となる各分野の専門家が弁護士ではない場合、弁護士が調停人に随時助言をする体制整備が義務づけられています。そのため、紛争の当事者は法的な解釈を考慮しながら和解に向けた話し合いを進めることができます。

ADRのメリット、デメリット

賃金交渉

 ADRのメリットは裁判のように勝ち負けの判決を目指すわけではないため、証拠がなく判定をするのが難しい内容でも専門家が間に入り、柔軟な話し合いによる解決が可能なことです。話し合いは非公開で実施、費用は比較的安く、解決に至るまでの期間が短いことが挙げられます

 デメリットは裁判のように強制力がないため、ADR申し立てに対して相手方が話し合いに応じる意思がなければ不成立となり、その時点で終了となります。ADRは非公開で実施されますので、ハラスメントの紛争内容はニュース等で表沙汰にならず企業側が社会的な制裁を受けることはありません。

 これらの特徴をよく理解した上でADRの利用を検討するのが良いでしょう。

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