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パワハラを訴訟ではなく「柔軟な話し合い」で解決するメリット・デメリットとは

学び

ADRは認知度が低い課題も

交渉

 筆者は大手企業、中小企業に勤務する多くの人事担当者と仕事でお話をする機会がありますが、肌感覚として8割近くの人事担当者はADRを知らないという実態があります。「ADRの存在自体を聞いたことがない」「知らない」とよく言われます。

 まだ認知度が低く、当たり前に利用されているとは言えないADRですが、ハラスメント対策が進んでいく中で、より事案に合った解決方法として少しずつ認知は高まり普及されていくと考えています。勤務先にADRを申し立てても、企業側はADRを理解するところからスタートすることも大いに予想されます

状況に応じた解決方法を選択

 いきなり訴訟を起こすのではなく、まずはADRを申し立ててから、相手方が応じなければ訴訟に踏み切るように段階的な戦略を立てて進めるのも1つの方法です。もちろん誰もがADRも訴訟もしたくないとは思いますが、残念ながら行動を起こさないと現状を変えることができない紛争は存在しています

 現在、ハラスメントの紛争を抱えていて、何かアクションを起こすことを考えている人は、短期的に解決するほうが良いか、長期的でも良いか、精神的な健康状態に問題はないか、これらのポイントをよく検討してから判断することをおすすめします。

<TEXT/ハラスメント専門家 村嵜 要>

1983年、大阪府出身。ハラスメント専門家。会社員時代にパワハラを受けた経験があり、パワハラ撲滅を目指して2019年2月に「日本ハラスメント協会」を設立。年間50社からパワハラ加害者(行為者)研修の依頼を受け、パワハラ加害者50人を更生に導く。
Twitter:@murasaki_kaname

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