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売上高「10分の1」の衝撃。インバウンド依存度が高い3社の業績に見る”活路”

ビジネス

インバウンドテック:東京電力が主要顧客

インバウンドテック

画像は公式サイトより

 インバウンドテックは2021年12月に上場し、現在東証グロース市場にいる新しい企業です。

 同社は(1)マルチリンガルCRM事業と(2)セールスアウトソーシング事業の2事業を展開しています。(1)は日本語含む13言語の多言語・通訳ソリューションを事業としており、コールセンターを通じた飲食店での通訳や医療通訳サービスを提供しています。(2)は同じくコールセンターを通じた電話セールスの代行業務を提供し、東京電力が主要顧客のようです。2019/3期から22/3期の業績は以下の通りです。

【インバウンドテック(2019/3~2022/3期)】
売上高:29.5億円→29.8億円→20.0億円→27.7億円
営業利益:0.5億円→2.1億円→2.8億円→2.9億円
最終利益:0.2億円→1.4億円→1.8億円→1.8億円

インバウンド現象でも乗り切れた理由

 2020/3期までは外国人観光客(インバウンド)の増加に伴い、主力の(1)事業が伸びていました。しかし、2021/3期にはコロナの感染拡大が始まってしまいます。業績悪化が予想されるところですが、21/3期はテレワーク促進や通販受付需要などの日本語ニーズが堅調で、意外にも(2)事業の減収幅は4%に抑えることができました。

 一方で影響が大きかったのは(2)であり、緊急事態宣言などで東電から受注する電力切替勧奨業務が一時期停止し、これが全体売上高の減収要因となりました。そんななかでも外注費抑制により利益は確保できたようです。

 翌2022/3期は同じく東電関連業務の低調で(2)事業の売上高が伸びませんでした(9.9→8.9億円)が、テレワーク・通販関連業務を受注した(1)事業が好調となり、全体売上高はコロナ前に迫る水準まで回復しています。

 同社は東電という上客を抱え、日本語・外国語向け事業の両方を提供していたことでインバウンドが減少しても乗り切ることができました。外国人向けサービスに特化していたら存続に影響するほど業績が悪化していたことでしょう。現在ではほぼ国内向けコールセンター会社のような実態となってしまいましたが、いずれ社名通りインバウンド向け事業を強化したいようです。

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