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売上5億円「日本一売り上げるホスト」が語る、“1000万円の壁”を超える接客術

ビジネス

入店してしばらくは“新人らしからぬ新人”に

降矢まさき

 まずは、月の売り上げ150万円までの戦略です。地方出身のぽっと出のホストなんて誰も見向きもしませんから、最初は知ってもらうことからです。入店してしばらくは、“新人らしからぬ新人”をブランドの柱のひとつに掲げました。

 売り上げのない下っ端ホストの仕事にコールや雑務全般があります。俺は何種類もあったコールは1週間ですべて覚えたし、特に徹底したのが掃除。当時、日の出から正午までの朝営業の出勤でしたが、夜の営業が終わる24時すぎにはお店に向かい、それこそ「大火を招く小火はごみくずから」の気概で、一人黙々と店内の掃除と向き合いました。

 他のスタッフが出勤する前にすべて終わらせていたので、日増しに彼らの俺を見る目が変わっていくのを実感できました。

“ちょうどいいホスト”が敵からも愛される秘訣

 合理的かつ飛躍的にブランド力を高めたいなら、どの先輩の下につくかも無視できません。歌舞伎町の絶対王者である(渋谷)奈槻さんの“犬”になったのもその理由です。ホスト界No.1の仕事術を盗むのはもちろんですが、同時に彼の権威を借りて知名度を高めるのも狙いでした。

 ただ、このブランディング術は諸刃の剣。「渋谷奈槻が認めた新人」と周囲は期待して見るので、ポンコツだと思われたらチャンスの芽を摘まれる恐れがあります。だから、売り上げがなくても“将来のエース候補”と、ポテンシャルを感じてもらえる男に見せる必要がありました。

 そこで意識したのが“ちょうどいいホスト”。例えば、ヘルプに入るときは、真面目な会話、ハイテンションな接客など、先輩ホストの好みに合わせて接客のスタイルを変えましたし、氷の入ったアイスペールを交換するときは、動線上にある卓上のそれも一緒に交換していました。

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