福沢諭吉と渋沢栄一の“対照的”な幸福論「一生を貫く仕事を持つこと」
幸せとは「一生を貫く仕事を持つこと」
福沢諭吉の幸福に関する言葉があります。
「世の中で一番楽しく立派なことは、一生涯を貫く仕事を持つこと。世の中で一番惨めなことは、教養のないこと。世の中で一番寂しいことは、仕事のないこと。世の中で一番醜いことは、他人の生活をうらやむこと。世の中で一番尊いことは、人のために奉仕して少しも恩に着せぬこと。世の中で一番美しいことは、すべてのものに愛情を持つこと。世の中で一番悲しいことは、嘘をつくこと」(福沢諭吉の心訓より)
心訓は福沢諭吉の言葉ではないとの説もありますが、真理を突いた言葉だと思いますのでご紹介しました。一生を貫く仕事を持つことがいかに幸せであるかわかります。
明治時代の大ヒット書籍『学問のすすめ』の中の有名な一節、「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」が、人が平等であるということはご承知のとおりです。人は平等であるのに、なぜ成功する人、しない人がいるのか、なぜ貧富の差があるのか。それは、学問をしているか、していないかによるというのが、『学問のすすめ』の骨子です。
人が最大の幸福を得るには
福沢諭吉は、こうも言っています。「教育の目的は、自分の人生を立派に送り、自分を高めることである。これは人が最大の幸福を得ることにつながる」。
福沢諭吉は、日本が開国する前に三度も洋行しており、そのたびにどっさりと書籍を買い込んできています。当然、先のベンジャミン・フランクリンの自伝も読んでいると思いますが、福沢諭吉も「自分の人生をやり直すとすれば、今生きてきた人生をそのまま繰り返したい」と言っています。
普通の人なら(私ももちろんそうですが)、もう一度人生をやり直すことができるなら、「無駄な時間をたくさん使ったので、これとこれをやりたい」と違う人生を選ぶのでしょうが、福沢諭吉は有益な人生を送ったのでしょう。