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織田信長と豊臣秀吉のオモテとウラ。“天才的な人物”と言われるワケは

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莫大な損害で大名たちはどんどん不満

武士

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 結局、日本軍による朝鮮への進出と戦いは、秀吉が死んでしまうまで続きました。大名の多くは、朝鮮でひどい目にあったうえ、部下を大量に失い、失意と共に日本へと帰国します。しかも頑張って戦ったにもかかわらず、領地も増えないし、莫大な戦費に報いる報償もありません

 犠牲を払ったのに、何も得られないという豊臣家のブラック企業ぶりに、大名たちはどんどん不満を抱いていきます。これをきっかけに「豊臣政権に従っていても、いいことがなさそうだな」と思った大名も少なくなかったでしょう。

 だからこそ、秀吉の次に、徳川家康という新たなリーダーが登場した際、多くの代要たちは彼に従い、豊臣政権は滅ぼされます。もし、朝鮮出兵という大きな失敗がなければ、もう少し豊臣政権が続き、江戸幕府が生まれない……という未来もあったのかもしれません

<TEXT/歴史学者 本郷和人>

東京都出身。歴史学者。東京大学・同大学院で石井進氏・五味文彦氏に師事し日本中世史を学ぶ。大河ドラマ『平清盛』など、ドラマ、アニメ、漫画の時代考証にも携わっている。おもな著書に『東大教授がおしえる シン・日本史』など

東大教授がおしえる シン・日本史

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史上初めて「日本をひとつにしよう」と考えた男・織田信長が、目的のためなら虐殺もいとわない魔王だった!古墳時代から昭和時代まで、40の項目のオモテとウラを1セットで学ぶことができる、子どもだけでなく親も興味津々の一冊

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