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職場の“方言ハラスメント”が起こるワケ。「なまりは失礼」なのか

学び

共通語への威信や“権威感”が背景に

 ダイハラが起こる背景について、東京女子大学現代教養学部教授で言語学者の篠崎晃一氏に聞いた。

「共通語を強制する人は、無意識に共通語に威信や権威を感じていて、プレステージが高いからこちらに合わせるべきという価値観があるのでしょう」

 方言を言い換えることはできても、訛りを直すのは一朝一夕にはできず、人知れず努力する人がいるのも事実だ。

訛りを直すのが難しい地域とは?

方言ハラスメント

『東京のきつねが大阪でたぬきにばける 誤解されやすい方言小辞典』(篠崎晃一)などを参考に作成

 言語聴覚士の林桃子氏は、発話や発音のリハビリのほかに共通語のアクセントを身につけたい人へのレッスンを行っている。

「一回30分のレッスンを月1~2回行い、だいたい3か月で習得します。毎年数件ほどで多くはないですが、異動の時期や新社会人から依頼があります。特に北関東と南東北の人は『箸』と『端』といった同音異義語を高低で区別しない無形アクセント地域なので、意識しないと音の高低が感覚的にわからない傾向があります」

 共通語のアクセントの習得には自主練が欠かせないという。

「その方法は、YouTubeなどの音声を10秒程度で区切ってよく聞き、復唱します。その声を録音して、自分の声を客観的に何度も聞くことで音程のズレを正していくのです。慣れてきたら尺を長くします。ほかに日本語アクセント辞典アプリの『JAccent』も、単語単位で共通語の音声を再生できるので参考になりますね」

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