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核兵器がロシアの最終手段か。「ウクライナ侵攻」で考えられる2通りのシナリオ

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やりたい放題の結果、世界から孤立

――独裁政権に対して、国内から反発はないのでしょうか。

小泉:独裁が長く続くと、反対勢力が拡大するのはどの国でもあることですよね。ベラルーシでも2020年の大統領選挙の際「ルカシェンコ辞めろ!」と、国民が大統領宮殿を取り囲んで叫んでいる映像が流れてきて、私もこれでルカシェンコ政権もおしまいだと思って見ていました。

 すると、そこにベラルーシ政府のヘリコプターが飛んできたので、「ルカシェンコはこれに乗って逃げるんだな」と思ったんです。そうしたらなんと、逆にそのヘリコプターからルカシェンコが出てきたんですよ! 大統領宮殿を囲んでいる反対勢力の前にわざわざ出てきて、しかもマシンガンを携えていて最後まで引かないという姿を見せつけたんです。

――そんなルカシェンコがなぜロシアに頭が上がらなくなったんですか?

小泉:ロシアが、反対勢力側に「解散しないとロシアの治安部隊を送り込むぞ」と脅しをかけ始め、反対勢力はやむなく解散。それ以降、ベラルーシ政府はロシアに頭が上がらなくなったわけです。

ロシアには人の心がまだ残っている?

ウクライナ

画像はイメージです

――ロシアに助けてもらった政権なんですね。

小泉:もうひとつは、ルカシェンコは反対勢力に強い弾圧をかけたんですね。国外追放にしたり、違法に拘束したり、殺しも辞さなかったとの説もあります。こうした人権弾圧の影響で、EUなどからも見放されて孤立してしまいました。だから、現在ではロシアとの関係が悪くなってもEUにすり寄ることができなくなって、「プーチン様のいう通り」という姿勢でしか、生きていけない国になってしまったんです。それで今回、一緒に戦争をする羽目になり、経済制裁を食らってるということです。

――とにかく非道に見えるロシアですが、ウクライナの民間人が戦地から国外に逃げるための道「人道回廊」というものを作ったという話が出てきました。ロシアにもまだ人の心があったということなのでしょうか?

小泉:前提として、ロシアの言い分は「ウクライナはロシア系住民を虐殺する悪い政権だ」ということなので、「悪い政権から、民間人をロシアやベラルーシに逃がしてあげましょう」というものが人道回廊です。なので、この人道回廊を通って逃げられる先は、ロシアかベラルーシに限られるんですよ。

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