若い世代に意外と多い「統合失調症」就職や進学がきっかけで…予防法を日本赤十字に聞く
数か月の入院が必要になる例が多い
統合失調症は回復までに時間がかかる点も注意が必要です。
「急性期には、陽性症状の後に次第に陰性症状を呈する様に。心身共に全く休養がとれず、エネルギーを消耗してしまっている状態となります。そのため、薬物療法を行いながらゆっくり休養をとることが肝心で、数か月の入院が必要になる例も多いです。
また、再発すると薬が効きづらくなったり、認知機能の低下をきたすので、長期に内服を継続し再発を予防するよう心掛けたいです。入院中に本人や家族に対しては、内服を継続することの重要性やリバビリテーション等の指導を並行して行っています」
早期に発見したいところですが、岡先生曰く「気を付けるべきサインがある」と言います。
気をつけたいサインと予防法は?
「前兆として、不眠や不安、テレビの音が不快になったり、他人の視線が気になるといった神経過敏の症状に加え、食欲低下、イライラ、集中力低下、落ち着かない等の症状が出ることがあります。早期に治療を開始することで効果が得られやすいので、疑わしい場合は速やかに精神科に相談してください」
最後に予防方法を尋ねてみました。
「適度な睡眠や食事、休養をとることが重要です。特に、環境の変化があった時はストレスがかかりすぎないように気を付けることが大事です」
つい新しい環境に慣れようと無理をしてがんばってしまいがちですが、そんな時こそ、オンオフのメリハリをしっかりつけて働く必要があるようです。
<取材・文/和泉太郎>
【岡 文恵】
山梨大学医学部卒業。国立国際医療研究センター精神科を経て、2022年4月より日本赤十字社医療センターメンタルヘルス科に勤務。専門は「リエゾンコンサルテーション」