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Apple変革の象徴か。歴代最高性能の「Mac Studio」など新商品が一挙公開

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新CPU「M1 Ultra」とは…

 Mac Studioの上位モデルは、M1世代のハイエンドCPUとなる「M1 Ultra」を搭載する(下位モデルは最新型MacBook Proと共通の「M1 Max」)。この「M1 Ultra」が何というか、実に直情的なCPUなのである。

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M1シリーズCPUの比較。M1 Maxを2つ接続したのがM1 Ultraで、「とにかく強そう」という印象だ

 M1 Ultraの性能は、Appleシリコンとして最高というだけでなく、従来のMac Proシリーズに採用されたIntel製の「Xeon」を上回る。すなわち3月9日に、歴史的にも最高性能のMacが爆誕したことになる

 どうやって高性能を実現したのかというと、仕掛けは単純で、内部で2個のM1 Maxチップを接続している。「2個で2倍」という安直な発想だ。Appleはこの設計を「ウルトラフュージョン」と呼んでいる。

 Mac Proを上回る性能と考えれば、Mac Studioは相対的に「省スペースのタワー型ハイエンドコンピュータ」ということになる(受ける印象は「大きくなったMac mini」だが……)。価格もMac Proと較べて安いため、プロユース市場における存在感は強まるものと予想される

“デザイン先行”から脱却か

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プロユース市場に訴求するMac Studio。Mac Proと比べるとはるかに省スペースだとわかる

 ここで少しだけ、今世紀におけるAppleの躍進を振り返ろう。2008年に発表された初代のMacBook Airでは、機能を絞り込んで薄さを追求するという「デザイン先行の設計」で大成功を収めたため、その後のAppleのプロダクトには“デザインありき”という印象がつきまとった。

 ところがM1 Ultra/Mac Studioの場合、超性能チップの完成がデザインに先行している。すなわち、「とにかくスゴいチップを作ろう」というのが出発点。そして「とにかくスゴいチップができたから、それを冷やせる筐体を」ということで、Mac Studioはあの異様な設計になったのだ。

 そのためか発表会におけるプレゼンの順番も、「M1 Ultra」が先、Mac Studioが後であった。これはコンピュータの設計として極めて誠実な道筋だが、スティーブ・ジョブズ時代のAppleのイメージからは外れている

 もちろんプロユースの場合、デザイン以上に性能が要求されるのは言うまでもないし、Mac Studioのデザインだってそう悪くはない。ティム・クックCEO率いるAppleのプロダクトは保守的とも言われるが、Mac Studioからは性能向上への熱気が感じられた。

<TEXT/ジャンヤー宇都 編集/ヤナカリュウイチ(@ia_tqw)>

「平成時代の子ども文化」全般を愛するフリーライター。単著に『多摩あるある』と『オタサーの姫 〜オタク過密時代の植生学〜』(ともにTOブックス)ほか雑誌・MOOKなどに執筆

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