コロナ禍での「若者の異変」。日本初の“孤独対策”チャット相談で見えた | bizSPA!フレッシュ

bizSPA!フレッシュ

コロナ禍での「若者の異変」。日本初の“孤独対策”チャット相談で見えた

ビジネス

 NPO法人「あなたのいばしょ」は日本で初めての24時間対応・無料・匿名のチャット相談を運営しています。現役慶応大学生の大空幸星(おおぞら こうき)さんは、二十歳でこのNPO法人を設立しました。以来、「誰かに頼りたいのに、誰も頼れる人がいない“望まない孤独”」状態にある人の最後の砦となっています。

学校 孤独

※画像はイメージです

 あなたのいばしょの特色のひとつがデータの活用を重視していることです。相談窓口には1日80万字、文庫本で表すと8冊分にのぼるテキストデータが集まります。これらは日本のメンタルヘルスの状況を表す貴重なローデータです。「データチーム」と呼ばれるチャット相談データを解析する部署を事務局内に設置するなど、ほかのNPOではあまり見られない試みが行われています。

 今回は大空さんの著書『望まない孤独』から、2020年からの4回にわたる緊急事態宣言で相談者の声にどのような変化があったのか、相談チャットで頻出する言葉を可視化したワードマップとともに紹介します(以下、同書より一部編集の上抜粋)。

コロナ禍で寄せられる相談内容に変化が

 新型コロナウィルスの流行に伴い、政府は1回目の緊急事態宣言を発令した。期間は2020年4月7日から5月25日までだ。私たちは相談窓口を開設したばかりだったが、1日に50件近い相談が寄せられていた。ワードマップが示すように、この期間の相談の特徴は、「コロナ」や「不安」という言葉が相談内で多く使われていたという点だ

ワードマップ

1回目の緊急事態宣言期間中のワードマップ

 これは人々が「コロナ」という未知のウイルスに対する率直な不安感や恐怖心を吐露していることを表している。自分自身が感染することを恐れていたり、大切な家族が感染するかもしれないという不安を訴える相談者も多かった。

 1回目の緊急事態宣言が解除されても、社会は日常を取り戻すには至らなかった。私たちに寄せられる相談も次第に膨れ上がっていった。学校は対面授業からオンラインとなり、新入生は友人関係を築く機会が奪われていた。学校は、学生に対して社会的つながりをつくる機会の代替案を提示することに失敗し、多くの学生はひとりで孤独に耐えていた。また家にいる時間が長引いたことによる、DVや虐待に関する相談も日に日に増えていった。

芸能人の自殺報道の影響も

 そして年が明けて2021年1月、政府は2回目の緊急事態宣言を出す。期間は2021年1月8日から2021年3月21日まで。この期間に私たちの窓口で使われた言葉を表すワードマップを先ほどの1回目の緊急事態宣言発令中のワードマップと比較すると、大きな違いがある。それは「死」という言葉がより頻繁に使われているという点だ

ワードマップ

2回目の緊急事態宣言期間中のワードマップ

 コロナ禍の初期、2020年春には育児・家事など比較的限定的なストレスを抱えていた人が、芸能人の自殺報道の影響を受けるなどして、徐々に重層的な悩みを抱えるようになった。その結果として「死にたい」と考える人が増えていったのだろう。

 2021年4月には1か月当たりの相談件数は1万1084件にもなった。相談員の採用も積極的に行なっていたが、急増する相談に対応できず、応答率は低下しつつあった。

望まない孤独

望まない孤独

相談件数は年間20万件以上。日本初の24時間無料チャット相談「あなたのいばしょ」を立ち上げた現役大学生が語る、人の心を蝕む“望まない孤独”とは

おすすめ記事