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約100万円で「街の整体サロン」を開業した人のその後。成功と失敗の分かれ目は

学び

 街を歩くと多くのサロンがあることに気づく。美容院はいざしらず、リラクゼーションサロン、エステサロン、ネイルサロンなどコンパクトな出店が相次いでいる。街の見える部分だけでもそれが実感できると思うが、さらにマンションの一室や自宅での開業も増えているのでGoogleマップなどで検索するとさらに至るところにサロンがあることがわかる。

マッサージ

※画像はイメージです(以下同じ)

 このようにサロン業の開業が増えている理由として比較的開業にかかる費用が安いことが挙げられる。例えばカフェなどの開業だとある程度の広さが必要であり、厨房設備にも費用がかかる。500万~600万円程度はかかるだろう。しかし、多くのサロン業はミニマム100万円もあれば開業が可能である。

 そのたのような背景からか、未経験にもかかわらず筆者の運営している整体スクールやサロン開業塾で学ぶ方が近年増えている。今回はサロン開業・集客アドバイザーの視点から見たいくつかの事例を紹介したい。

目がほぼ見えない元配送業者

 こちらの男性は大手配送会社でガリガリ働き稼いでいたのだが、目の病気により配送業に携わることが難しくなったということで筆者の運営する整体スクールにやってこられた。全く目が見えないわけではなく中心部分が良く見えなくなってきているようだ。

 体験コースを経て、本科コース、総合コースと受講された。この間の授業時間は50時間ほどで、料金は55万円。マンツーマンなので凝縮した講座となり、このような短時間、低価格で終わることができる。スクール修了後はお住まいに近いボディケアチェーンのサロンで1年ほど勤務をされた。その間は開業塾にも1年通われた。月に1回3~4時間ほどの内容で講義のみならず先輩諸氏のアイデアも吸収。この塾の費用は11万円ほどだった。

廃業には必ず原因と理由がある

伊澤宜久

サロン開業・集客アドバイザーの伊澤宜久氏

 そして満を持して出会ってから約2年半後に東京都青梅市でビルの3階にある事務所使用の賃貸物件を、店舗としての内装工事をしてマッサージ系サロンを開業。

 筆者も内装前と内装後の2回ほど現地に赴き、アドバイスをさせてもらった。最初は非常に心配していた男性だが、1年ほど経た時には売上は月に40万円を超えて軌道に乗り始めていた。「あと20万円ほどプラスになるところまでは見えてます」と、コロナ禍でも笑う男性を見て筆者も大変嬉しい気持ちになった。

 経費は家賃10万円プラス5万円の15万円ほど。売上から経費を引くと現状はまだ25万円ほどの収入だ。しかし、「ありがとう」と言われた上で料金までいただけて充足していそうな書き込みをSNS上でよく見かける。このように、きちんとした技術を学んで、経験を積み、店舗の運営をしっかり学んだ上で開業すればあまり大きなマイナスが出ることの少ない業種なのだ、実は。

 廃業には必ず原因と理由がある。開業のハードルが低い分ちゃんと準備をしない、計画を立てない人が多い。だから廃業が多いように見え、リスクのある開業だと思われるが実はそうではない。筆者の運営するリラクゼーションサロンから今まで開業したのはこの18年の間に全部で19人。サロンを畳んでしまった、という話はまだ1件しか聞いていない。

サロン開業・経営の教科書

サロン開業・経営の教科書

サロン業暦18年、5店舗を運営し、独立した19人のスタッフもほぼ営業し続けている著者によるサロン型ビジネスを成功に導くノウハウのすべて

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