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高梨沙羅の失格に…「悪夢のような敗戦をした」元五輪メダリストからの伝言

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あの時の心の傷は今も残っている

堀井学

堀井学さん

 スピードスケート競技は、技術の習得に時間がかかり、体力のいるものです。新しいスケート靴が出てきたからといって、そう簡単に技術を積み上げることはできないと思い込んでいました。

 実際は、私もスラップスケートを履いて五輪前に世界新記録をだしたこともありますが、時間をかけてスケートの特徴を熟知するための研究をしなかったのです

 そして、大きな期待を背負いながら長野五輪は500m13位、1000m17位と惨敗します。重圧やコンディションも影響したと思いますが、あの時の結果に対して心の傷がいえるまでに、いや、今でも残っています。

 気にしなくなるまでは20年程度かかりました。冬季五輪だけでなく、夏季五輪を見ても思い出す。一般のジャンプ競技大会をみても、苦い記憶が蘇るのです。

悪夢のような敗戦をしたから言えること

 彼女の不運は、失格によって団体競技でメダルを獲得ができなかった責任を背負ってしまう点です。次の五輪で同じメンバーでメダルをとれば傷はいえるでしょう。でもそれは、大変困難な道のりなわけです。

 高梨選手は団体種目で私は個人種目なので、少し事情は違いますが、注目を集めながらルールや道具によって結果を残せなかった選手として、伝えたいことがあります。それは、いまの自分があるのは、長野五輪での失敗と次のソルトレイク五輪へ向けて挑戦したことです

 ソルトレイク五輪でも、思うような結果は残せなかったけれど、あきらめずに、取り組んだ気持ちがあったから、いまも、人生で胸張ってあらゆることに挑戦していけます。

 いまでこそ言えるのですが、長野五輪は最大の失敗でなく、宝物。失敗があったからこそ、自分の人生はつながっている。どんな負けも悔しさも、活かそうと思えば活かせるのです。

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