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「片付ける気力もない」20代女性介護職の“ゴミ屋敷“の実態を清掃業スタッフに聞く

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「明日やろう」の積み重ねが、やがてゴミ屋敷に

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前述の女性の浴室。洗面台や風呂は使われていないような状態だ

 清掃のプロとして、ゴミ屋敷に住む人びとの心情を知ろうと汚部屋で暮らす実験をしたこともある鈴木さん。体を張って、汚部屋になっていく過程を体感したようだ。

「一度、状況を知るために1か月ほど汚部屋を作る実験をしました。やってみて分かったのはベッド周辺やキッチンを中心に汚れていくということです。水場はカップ麺のスープなどをそのまま流してしまい、排水口が汚れていく。飲んだあとのペットボトルもテーブルに溜まっていき、お菓子のカスも放置するままになりました。はじめこそ違和感はありますが、3~4日経つと慣れてきますし、片付けるのもおっくうになっていきました

 期間中はトイレに立って食事をして、寝る以外はあまり動かなくなりました。『今日はいいや。明日やろう』が積み重なり、片付けようとするまでの気持ちもだんだん変化していくのが分かりました」

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前述の女性の部屋

溜まったゴミに集まる害虫で健康リスクも

 鈴木さんの会社にはゴミ屋敷の清掃だけではなく、家主が亡くなったあとの処理をする特殊清掃の依頼も来る。孤独死の実態を伝える登録者4万6000人(取材時点)の人気YouTubeチャンネル「特殊清掃チャンネル」でYouTuberとしても活躍する鈴木さんは、ゴミ屋敷化の先にあるリスクについても憂う。

「今後も孤独死数は増加傾向と言われていて、現場での実感もあります。ゴミ屋敷やセルフネグレクト、生涯未婚率の上昇などにより、一人になる可能性も自然と高まっていると思います。

 そこに来たのがコロナ禍で、通販や食品デリバリーに頼む、他人との接触を避けるといった新しい生活様式の影響で、加速するとは考えられます。室内にゴミが溜まっていると菌を持った害虫も寄ってきますし、そのような部屋で何年も過ごしていれば、年齢を重ねるにつれて健康面での弊害が出やすくなる可能性もあります」

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