建物の老朽化、ヤクザが出入り…“腐動産”リゾートマンションが激増するワケ
リゾートマンション特有のトラブルはなぜ頻発する?
リゾートマンション特有と思えるこうしたトラブルは、なぜ頻発するのか。不動産管理コンサルタントの別所毅謙氏が説明する。
「リゾートマンションに限らず、住人の質が低下したマンションは“腐動産”化どころか、スラム化する。お金がない住人はルールを守らないことが多く、まともな人は退去し、そこに怪しげな住人が滑り込む。
手に負えなくなった管理会社は逃げ出し、管理組合も管理費や修繕積立金を徴収できず、住人の自主管理になると、部屋を勝手に修理したり、住人の好き放題になる。そして、建物は傷み、“スラム化”していく。
実際、土浦のリゾートマンションでは、事業に失敗したオーナーが夜逃げし、新オーナーは修繕費用の1億円を出し惜しみ、崩壊した梁にアルミホイルを巻いてみたり(苦笑)、わずか1000万円で済ませた。そんな物件の住人の質がいいわけはなく、ゴミ屋敷と化した部屋も少なくない」
管理組合が機能している地帯も
日本一のリゾートマンション林立地帯、新潟県・越後湯沢の物件を30年前に1500万円で購入した林洋介さん(仮名・68歳)はこう悩みを明かした。
「年に1回行くかどうかのマンションに、年間30万円の管理費を支払うのはバカらしいが、売っても80万円にしかならず、実質放置しています。温泉目当てで住んでいる人もいるが、高齢化で管理費を支払えず、大規模修繕の必要が出てきたときどうなるか心配です。ただ、管理組合がしっかりしていて、築年数のわりに傷みが少ないのが救いですね」
前出の榊氏は、日本一のリゾートマンション地帯のマンション管理をこう評した。
「越後湯沢は管理組合が非常に機能しており、法人化して権能を強化したり、組合理事長が連合を組んで行政とかけ合ったりしている。暴落した物件を巡り暗躍する悪質な業者に対抗するため、『自分たちが管理するマンションで、管理費滞納のため競売にかかった住戸を競売で落札し、第三者に転売する行為』は宅建業の範疇ではないと県に認めさせたほどです。
これにより、悪徳業者が買う前に管理組合自らが競売物件を落札・転売できるようになり、滞納された管理費を回収できたうえに、新たな居住者の質を担保しています」