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「創業218年のミツカン」の原点とDX化の本気度は?外資系出身CDOに聞いた

ビジネス

場所や時間、人に寄らない「仕事の標準化」を

ミツカン

 よりフラットな社内間の対話が生まれるように体制を整えたことで、いつでも・どこでも・誰でも同じような仕事ができるよう、標準化を目指していくそうだ。

「まだまだ具体化できていないこともたくさんあり、デジタル化は道半ばだと感じています。現状は生活者の一面しか見えていないと思っていて、さまざまなデータを統合することで見えてくる気づきや発見を、どう生活者の価値提供へと変えていけるかが肝となるでしょう。ミツカン自体は売り場を持っていないので、ファンサイトのようなものを構築し、ブランドの魅力を発信していく取り組みもしていきたいと考えています」

 外資系企業を経て、歴史ある日系企業へとキャリアを進めた渡邉氏。これからも変革と挑戦を繰り返しながら、ミツカングループの未来を切り開いていくことだろう。

20代は時には人の助けを借りるのが大事

 最後に20代の若手ビジネスパーソンへのメッセージをもらった。

「月並みですが、まずはチャレンジ精神を持ってなんでもやってみること。20代のうちは失敗しても怒られないので、いろいろやっていくことで成長できると思います。成功も失敗も経験すれば、その後のキャリアに生きてきますし、私も半分くらいは失敗していますが、その失敗を糧に自分を成長させてこられた

 一方で、人の助けの借りることも重要です。メンターや尊敬できる人、周囲の同僚などから客観的、中立的な意見やアドバイスをもらい、それを素直に受け入れれば、自分にはわからないことに気づけます。

 私も過去にいろいろな上司を見て、それぞれの仕事に対する取り組み方や考え方、スキルを学んできました。目上の人から学ぼうと思ったら、飲みに誘ったり趣味の話をしたりして、かわいがってもらうようにすれば良い関係性が作れると思います。素直に『教えてください!』と伝えるといいのではないでしょうか」

 渡邉氏はデジタルを使って生活者との接点を増やすほか、個人的に懇意にしている飲食店オーナーにぽん酢サワーを取り扱ってもらったり、新しく出会う人にぽん酢サワーの魅力を伝える活動も行なっているという。今後も、鍋用調味料として愛されてきた「ぽん酢」の新たな魅力を提案し、さまざまな切り口でファンを増やしていくのではないだろうか。

<取材・文/古田島大介>

1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

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