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「創業218年のミツカン」の原点とDX化の本気度は?外資系出身CDOに聞いた

ビジネス

創業以来受け継いできた「2つの原点」

ミツカン

「カンタン酢」酢ごもりボーナスキャンペーンの内容

 さらに、ミツカングループが長年大切にしてきた企業理念でもある「2つの原点」に感銘を受け、それが入社を決めるきっかけにもなったという。

「ミツカングループは1804年から続く歴史あるオーナー企業ゆえ、デジタル変革を担っていくためには保守的な部分やしがらみと向き合いながら推進していく必要があると感じていました。200年以上続く企業の根底には企業理念があり、それを守り抜いてきたからこそ、長年にわたって多くのお客様に親しまれてきたと理解することができたんです。

 生活者視点に立ち、お客さまを第一に考えた品質向上の精神である『買う身になって まごころこめて よい品を』と、限りなく挑戦や革新をしていく姿勢を示す『脚下照顧(きゃっかしょうこ)に基づく現状否認の実行』。ミツカングループの掲げる、現代でも通ずる普遍的なこの『2つの原点』を体現したい。そのような思いから、入社する運びとなりました」

「ゴール設定」と「本音で語れる人間関係」が大切

ミツカン

添加物や動物性原料に頼らない味づくりで、植物を可能な限りまるごと使った商品を展開する「ZENB(ゼンブ)」。ミツカン未来ビジョン宣言の実現に向けて2019年に立ち上げ、2020年にはグッドデザイン賞にも輝いた

 2018年11月に渡邉氏がMizkan HoldingsのCDOに着任した同時期に、ミツカングループは10年先の未来へ向けた「ミツカン未来ビジョン宣言」を発表した。「人と社会と地球の健康」、「新しいおいしさで変えていく社会」、「未来を支えるガバナンス」の3つを主軸に据え、ミツカングループが新たなステージへ進む意思を明確化したタイミングでもあったのだ。

 そんな状況下、渡邉氏はこのビジョンを実現するために、日々社内のデジタル変革に邁進している。大企業のDX化は並大抵のことではないが、どのような意識を持っているのか。

大事なのはデジタル変革で目指す目的やゴールを明確化すること。デジタル化は単純ではないので、自社でデジタル化を推進する意義や最終的な目指す道をまずは決める。他方で、ゴールを明確にしただけではデジタルを理解し、実行にはつながりません。外部から来た人間である私は、プロパー社員のみなさんとの本音で語れる人間関係を構築できるように意識しています。

 デジタル推進についてあれこれ議論し、喧々諤々しながら一歩ずつ前に進めている状況ですね。ただ、老舗企業だからといって、変に『派閥』みたいなものはないんですよ。学校みたいな雰囲気というか、和気あいあいとした社内風土があり、お互い助け合いながら仕事に取り組めています。今後もみんなで一緒に走りながら、デジタル化を進めていきたいですね」

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