カインズ、“利益率1%以下”の東急ハンズを買収した理由3つ。泥沼業界にくさびを打てるか
東急ハンズの牙を抜くことにならないか
その一方で、カインズのプライベートブランド商品を、東急ハンズで販売する難しさもあります。カインズが開発した商品が東急ハンズの客層に受け入れられるかわからないからです。そもそもカインズの商品は、郊外の大型店の需要に応えることを目的として開発されています。
カインズのプライベートブランド商品は尖ったデザインを排し、万人に受け入れられやすいものを目指しています。そうした商品が並ぶことで、東急ハンズの牙が抜かれたと思われれば集客力を失うかもしれません。
おそらく、商品開発チームには東急ハンズのスタッフが加わることとなるでしょう。顧客の嗜好に合わせ、少しずつプライベートブランドの比率を高めるものと予想できます。
M&Aによってプライベートブランドの販売チャネルを広げる試みは、島忠を買収したニトリと同じです。郊外型、都市型など多様な出店スタイルのニトリは、都市部出店型の島忠に自社商品を展開しても違和感なく受け入れられると考えられます。
カインズが開発する商品を東急ハンズで展開する場合はどうか。初の大型M&Aを成立させたカインズの手腕が試されます。
<TEXT/中小企業コンサルタント フジモトヨシミチ>