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カインズ、“利益率1%以下”の東急ハンズを買収した理由3つ。泥沼業界にくさびを打てるか

ビジネス

利益率が1%を切っていた東急ハンズ

営業利益率比較

営業利益率比較(決算短信をもとに筆者作成)

 東急不動産ホールディングスが東急ハンズを売却した背景には、もともと薄利だった東急ハンズが新型コロナウイルス感染拡大の影響で、業績が急悪化したことがあると考えられます。

 東急ハンズは2021年3月期の売上高が前期比34.6%減の632億円、44億円の営業損失(前年同期は2億円の営業利益)を計上しました。ホームセンター全体で見るとコロナ禍は特需となりましたが、都市部中心の東急ハンズは大打撃を受けることとなったのです。ただし、東急ハンズはコロナ前から業績は冴えませんでした。2019年3月期の営業利益率はわずか0.8%です。カインズは7.1%、DCMは6.4%、コメリは7.9%です

 新宿、渋谷、銀座などの一等地に出店する東急ハンズは家賃負担が重いと予想できます。東急ハンズは東急以外の物件にも出店しており、数字だけを見ると東急不動産にとってうま味の薄いビジネスであることは明らかです

カインズの店舗は平均の3倍近く稼いでいる

 カインズが東急ハンズを買収した理由は大きく3つに集約されると考えられます。1つ目は郊外型のカインズと都市型の東急ハンズで出店エリアが明確に異なること。2つ目は東急ハンズの物流をカインズに統合して物流コストを下げられること。3つ目はカインズのプライベート商品を東急ハンズで販売できることです。

 カインズはロードサイドの大型店を得意としています。ホームセンター1店舗あたりの業界平均売上高は8億円ですが、カインズ1店舗の平均売上高は22億円。3倍近く稼いでいます。カインズの1店舗の平均売場面積は7289平米です。競合のDCMは3679平米。カインズの1平米あたりの売上高は29万円。DCMは19万円、業界の平均が21万円です。

 カインズは売場面積を広くとっている上、驚異的な集客力を持っていることがわかります

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