普通の会社員が早期退職「FIRE」をめざすなら…究極にシンプルな投資法
NISAやiDeCoは大きなチャンス
個人の投資が広まるとともに手数料は大きく下がっています。かつては購入時に3%くらいの手数料を別枠で払い、運用期間中の費用として年2~3%の手数料を取る投資信託はざらにありました。これでは1年で5~6%値上がりしなければ実質的には利益がありません。運用益には課税もされます。
今では運用の損益分岐点は大きく下がっています。販売手数料ゼロ、運用管理費用が年0.2%といった投資信託で世界中に分散投資できるようになりました。NISAやiDeCoなら運用益は非課税です。つまり「年0.2%以上の値上がりで利益が得られる」ということです。これはFIREを目指す人にとって、大きなチャンスです。
この「低コスト重視」は、損益分岐点以上の理由があります。私たちが投資をするとき、もっとも確実なのは「運用コストは必ず発生すること」だからです。しかし、運用成績の保証はありません(「長期的には経済が成長すること(プラスになること)」はいえますが)。
手数料が高い=優秀なファンドでもない
また、投資のコストは一般的な「値段」とは異なります。
一般的に、物を買うとき高いコストを支払うなら、相応の見返りがあるのが普通です。100万円の車と200万円の車にはグレード差がはっきりあるように、値段の違いは基本的に品質の差であるからです。
しかし資産運用においてはちょっと事情が異なります。高い手数料が「高い運用成績の保証」でもなければ「元本割れをしないことの保証」でもないからです。たしかに高い手数料を支払うファンドの中に、高いパフォーマンスを出す商品がないわけではありません。インデックス(つまり市場の平均)より高い運用成績を誇る投資信託は基本的に手数料が高く設定されています。
しかし、「あらかじめ高い手数料のファンドの質を見極める」ことと「そのファンドの勢いが落ちたことを判断すること」はなかなか困難です。そして、高い手数料をもらいながら運用成績はイマイチと言うアクティブ投資信託もたくさんあります。
また、高い手数料が元本割れを回避してくれる保険のような役割を持っているわけでもありません。「プロなんだから損が出ないようにさっと売り抜けられるのだろう」と投資初心者は考えがちですが、これは過剰な期待です。それほど投資市場は簡単ではありませんし、それは運用方針に背くことでもあります。
私たちは、インデックスファンドで確実にコストが下がるというメリットをまず活かすべきです。インデックス運用は投資知識が少なくても、確実に平均点を獲得してくれることに魅力があります。FIREを目指す人の多くは、投資に時間を割くより、仕事の年収を高めるほうに時間を割くほうが重要性が高いはずです。ぜひ、インデックス運用を賢く活用してみてください。